大谷の右肘故障が市場に与える影響 各球団の幹部たちの見解は?

日本時間8月24日、大谷翔平(エンゼルス)が右肘の内側側副靭帯を損傷しているという衝撃的なニュースが球界を駆け回った。MLBの歴史上で初めての「本格的な二刀流選手」ということもあり、FA市場での大谷の動向は予測不可能と言われていたが、そこに右肘の故障という要素が加わり、大谷の新たな契約への動きはさらに複雑化することに。MLB公式サイトのマーク・フェインサンド記者は、大谷の右肘故障が市場に与える影響について、匿名を条件に各球団の幹部の声を入手している。

「大谷の故障はFA市場をどう変えるか」という質問に対し、あるナ・リーグの球団幹部はテキストメッセージで「誰もこんな選手を見たことがないのは明らかだ。今、そこに故障という要素が加わってしまった」と回答。そこには肩をすくめる人の絵文字が付け加えられていたという。

別のナ・リーグの球団幹部は「私の最初の反応は『ワオ! これで彼の価値は半分になってしまう』というものだった。長期契約を結ぶとして、5年間で2度目となるトミー・ジョン手術を受ける可能性がある投手に対し、どのように支払えばいいのか見当もつかない。彼は依然として驚異的な打者であり、投手としては最終的にブルペンに回る可能性もあるが、彼の価値と独自性は今回の故障によって大きな打撃を受けるのは間違いないだろう」と語った。

あるア・リーグの球団幹部は「ある程度はインパクトがあると思う。2度目のトミー・ジョン手術というのは珍しいことではないが、2024年は投げられないし、1年は純粋なDHとして契約することになる。どれくらい契約総額が変わるかはわからないが、計算は変化するだろう」とコメント。大谷の契約は最低でも10年5億ドルと見積もられていたが、今では「それに届かない可能性もある」と考える者も少なくない。

また別のナ・リーグの球団幹部は「靭帯損傷の程度が市場価値に影響するのは間違いない」と指摘。「手術するにせよ、保存療法を選択するにせよ、契約総額が1億ドル単位で減額される可能性がある。保存療法で済んだとしても、結局手術に至ることはよくあるし、どの道を選んだとしてもリスクが伴うことになる」と語った。

「故障が大谷の価値に大きな影響を与える」と考える者が多くいる一方で、「多くのチームによる争奪戦になるだろうから、影響はそれほど大きくならないのでは」と考える球団幹部もいる。今オフのFA市場には大谷ほどのインパクトを持つ選手がおらず、大谷に次ぐのはコディ・ベリンジャー、ブレイク・スネル、フリオ・ウリアスといった顔ぶれ。「来季投げられないとしても、十分な期間を投手としてプレーするはず。2度目のトミー・ジョン手術を受けることになったとしても、彼が40本塁打以上を打てる強打者であることを見落としてはいけない」と今オフ最高のFA選手であるという評価に変わりはない。

大谷が打者としてDH専門であるという点に関しては、意見が分かれている。「ポジションがないのは痛いが、攻撃面ではアーロン・ジャッジの領域に入る選手だし、走塁面ではジャッジより優れている」と大谷の攻撃力を高く評価する者もいれば、「DHオンリーの選手と契約するのは難しい」とチーム編成上の懸念を示す者もいる。また、「文化的なインパクトは非常に大きい。大谷を獲得したチームはチケットの売り上げが大幅に上昇することになる」と大谷獲得の効果を指摘する者もいた。

フェインサンド記者は「(故障によって)FA市場における大谷の価値は確かに影響を受けた。しかし、どの程度のダメージかはまだわからない」と自身の記事を締めくくった。

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