「怒り」ではなく「愛の作家」に 芥川・直木賞の贈呈式

芥川、直木賞の贈呈式で記念撮影に納まる(左から)永井紗耶子さん、垣根涼介さん、市川沙央さん=25日午後、東京都内のホテル

 第169回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の贈呈式が25日、東京都内で開かれ、「ハンチバック」の市川沙央さん(43)に芥川賞が、「木挽町のあだ討ち」の永井紗耶子さん(46)と「極楽征夷大将軍」の垣根涼介さん(57)に直木賞が、それぞれ贈られた。

 先天性の難病で身体障害がある市川さんは電動車椅子で登壇した。

 受賞作はこれまでのさまざまな「怒り」を原動力に書いたと語り、「けれど復讐はむなしいことも分かった。『怒りの作家』から『愛の作家』になれるようがんばりたい」と話した。

 垣根さんは今回、他の作家の候補作も読んだと言い「1冊目に読んだ本がめちゃくちゃ面白くて。『これだけ面白かったらもう十分だ』と思った。僕はたまたま選ばれた」と謙遜した。

 永井さんは「いつも作品を書いている時は闇に向かって投げているような気がするが、今回はたくさんの温かい選評や応援の声を頂いた。これが手応えというやつなのか、と感じている」と感謝の言葉を述べた。

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