ユナイテッド買収目指すカタール人富豪、父親がロンドンの不動産を681億円で売却へ…息子をバックアップ?

[写真:Getty Images]

マンチェスター・ユナイテッドの買収を試みているカタール人富豪の親族に、ある興味深い動きが確認された。イギリス『ミラー』が伝えている。

グレイザー・ファミリーがユナイテッド売却の意向を表明してから約9カ月。欧州随一の名門クラブに暗黒時代を招き、全世界に散らばるユナイテッドファンのほぼ全員が退陣を願っていると言っても過言ではないほど悪名高いオーナーグループは、待てど暮らせど最終決断を下さない。

ユナイテッドファンの方はご存知の通り、経営権獲得を目指すのは2人。マンチェスター出身のイギリスNo.1富豪として知られ、化学会社『INEOS』の会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるジム・ラトクリフ氏。もう1人はカタール元首相の息子であり、カタール・イスラム銀行(QIB)の会長を務めるシェイク・ジャシム・ビン・ハマド・アル・タニ氏だ。

ここ数カ月、買収を一歩リードしていると報じられるのはシェイク・ジャシム氏。しかし、グレイザー・ファミリーは60億ポンド(約1兆1050億円)超えの提示があるまでは態度を保留するとの見方もあり、ある段階から協議が全く進展しなくなっている。

そんななか、アメリカ『ブルームバーグ』によると、シェイク・ジャシム氏の父親がロンドン市内の高級住宅街に所有するペントハウスと不動産を総額3億7000万ポンド(約681億4000万円)で売却する方針を固めていることが判明したという。

父親のシェイク・ハマド・ビン・ジャシム・ビン・ジャブル・アル=サーニ氏は通称HBJとして知られ、2013年のカタール首相退任後、10年間でロンドン市内の高級ホテルを買収するなど、イギリスでは「ロンドンを買った男」として非常に名の通った存在とのことだ。

一方で、カタールの外相・首相時代にはワールドカップ(W杯)誘致に最後まで反対していたとされ、今年3月には息子のユナイテッド買収意向を受け、「私はサッカーに興味がない。息子の考えている投資を懸念している。うまくいくかもしれないが…」と公言している。

不動産2件の売却意向がユナイテッド買収に乗り出す息子とどう関係があるかは定かではないようだが、少年時代からユナイテッドに夢中だったとされる息子を金銭面でバックアップするために…というのは考えすぎだろうか。

何はともあれ、ユナイテッドファンとしては、とにかく一刻も早くグレイザー・ファミリーに退陣してもらいたいところだろう。

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