「コロナ禍は限りなくゼロだったが」抹茶の需要が急増 家計圧迫の円安なのに…一転チャンスのワケ

円安が続いています。これによって、わたしたちの生活に身近な輸入商品が高騰し、家計を圧迫しています。一方で、静岡県内では円安でチャンスを迎えた産業もあります。期待が高まっているのは、あの特産品です。

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静岡市駿河区にあるイタリア料理店では、テイクアウトをメインに多国籍弁当を販売しています。いま、食材の高騰に苦しんでいるのは、店の看板メニュー・ナポリタンです。

<May 渡辺祥子社長>
「メインはナポリタンになるけど、そのメインで使っている麺が一番影響がある」
Qどれくらいの値上がり?
「麺がいくらとかでなく、全体的に2022年と比べて、20%くらい値上がりしている」

値上げの余波は表からは見えない隠し味にまで。

<May 渡辺祥子社長>
「マンゴーなんかは、当店のナポリタンの甘さを出すのに使用しているので、こちらも海外製品ということで、値上がりしてしまっている状況」

輸入食材だけでなく、国産の野菜などの食材も値上がりしていることから、隣の静岡県富士宮市まで安い食材を求めて仕入れに行く日も。

<May 渡辺祥子社長>
「量を減らすのは、お店のコンセプトとしてしたくないので、赤字経営になってしまうけど、その中でも楽しく働いて、できるかぎり値上げをせずに頑張りたいと思っている」

8月22日、アメリカの長期金利が約15年ぶりの高い水準に。金利の高いドルを買い、円を売る動きが広がり、一時、1ドル=146円20銭台まで円安ドル高が進みました。歯止めのかからない円安。輸入商品を扱う店では、毎週のように商品が値上がりしています。

<ジュピターアスティ静岡店 吉田一子さん>
「今週ですと、このクッキーが20円くらい値上がり。1枚なので、値上げの率としては高く感じる」

お菓子類は、チョコレートやキャンディーなども値上がり。また、8月は調味料が値上がりし、9月には自社製のコーヒーも値上がりします。

<ジュピターアスティ静岡店 吉田一子さん>
「コーヒーの袋代や燃料費も上がっているので、値上がりしてしまう。モノによっては、まだ上がっていくのかなと」

多くの人たちが苦しむ一方で、円安がビジネスチャンスになっている県内の特産品があります。

それは、抹茶です。

<丸山製茶海外事業部 大場江里子さん>
Q何をしている?
「抹茶の本質をこういう形で色見とかなめらかさを確認しています」

抹茶はいま、海外からの需要が高まっているのです。

<丸山製茶海外事業部 大場江里子さん>
「最近では、アメリカの方で、抹茶の需要が高まっていて、年々増えているけど、それ以外にも中東あたりでも需要が高まっています」

また、煎茶は、ドイツを中心にヨーロッパとの取引が活発になっています。財務省の貿易統計によりますと、2022年の緑茶の輸出量は約6262トン。輸出額は約218億円となっています。

急激に需要が伸びている背景には、海外の健康志向の高まりがあります。

<丸山製茶海外事業部 大場江里子さん>
「コロナ禍は、限りなくゼロに近い状態だったが、2023年から海外から足を運んでくれるお客さんがとても増え、円安の影響もあって、日本に来やすいこともあるのかなと」

長引く円安は、わたしたちの生活を圧迫していますが、こと、お茶にとっては静岡ブランドを世界に示す絶好の機会にもなっています。

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