関東と関西の境界線はどこだ!徹底調査 “マクドナルド”呼び方は「マック」or「マクド」? 餅の形は? カレーの具材は? 

ある2つの街が「わが街こそが境界線だ!」と主張

みなさん、関東と関西の文化の違いといえば何を思い浮かべますか?
例えば、うどんのつゆは関東では濃い口の“かつおだし”。一方、関西ではあっさりとした“昆布だし”。お餅は、関東は“角餅”で関西は“丸餅”。さらに、“マクドナルド”の呼び方は、関東は「マック」、関西は「マクド」…などなど違いをあげればキリがないですよね。

では、日本を大きく分ける関東と関西の境界線は、一体どこにあるのでしょうか?
※この記事は2022年5月6日に公開された記事を再掲したものです。

まずは、街で「どこが関東と関西の境界線だと思うか」聞いてみると…

(名古屋市出身)
「愛知県。関東出身か関西出身か聞かれた時にどっちか答えられなくて、いつも困っているので真ん中かと」
(愛知・岡崎市出身)
「愛知県の尾張と三河の境あたり。三河の文化は静岡とか東日本に近い」
(岐阜・揖斐川町出身)
「岐阜県とかじゃないですか。方言みたいなのが関西寄りなので」

実は、その岐阜県の2つの街が「わが街こそが境界線だ」と主張しているんです。

日本の境界線はいったいどこなのか?
「わが街が境界線」だと主張する1つ目の街は、刃物の街として知られる岐阜県関市。

市内にある刃物の資料館を訪れると…

(番組スタッフ)
「こちらですね。宣言とはっきり書かれています」

「宣言。関より東を『関東』、関より西を『関西』という。ここに、関市が関東・関西の分岐点であることを宣言する」

なんと、ここ関市が関東と関西の境界線であるとはっきり宣言しているのです。プレートをよく見ると、この宣言がされたのは、平成4年。つまり今より30年も前から“境界線である”と主張していたのです。関市の担当者に宣言の根拠について尋ねました。

(関市観光課・林拓海さん)
「人口重心地がありますので日本列島の関市は、まん真ん中ということで、関東と関西をわける真ん中の市ですよと」

関市の主張はこうです。
日本列島が一枚の板で日本国民が全員同じ体重だと仮定した場合、重さのバランスがうまく取れる地点を「人口重心地」といいます。国勢調査の結果、その「人口重心地」が関市と判明。つまり、関市は日本の真ん中で、関東と関西の境界線だというのです。

さらに…

(関市観光課・林拓海さん)
「宣言プレートの後ろに“センターポール”というものがあります。関市は関東と関西をわける分岐点ということでセンターポールで示されています」

プレートと同じ時期に建てられたポールには、“関東”と“関西”をはっきりと分けた表記が。

つまり…

(関市観光課・林拓海さん)
「(Q極端なことを言えば今、林さんがいるのは?)関東です」
「(Qポールより西側にずれたら?)関西です」(※あくまで関市の見解)

(スタッフ)
「自転車に乗った女性が関西から関東に入りました」
「自転車の女性が関東から関西に越境しました」(※あくまで関市の見解)

しかし、そんな関市の主張に「待った!」をかける街があります。

食文化では関ケ原町が境目?

関市から西に約50キロ。岐阜県の県境に位置する関ケ原町。天下分け目の“関ケ原の戦い”でも知られていますが、関ケ原町も関東と関西の境界線は「わが町」だと主張しています。

町内のうどん店を訪れると…
この店では、関東風のカツオだしと、関西風の昆布だしの2種類のうどんを提供。

さらに、こちらの老舗和菓子店では、お餅は関東風の「角餅」と関西風の「丸餅」の両方を販売しています。

(松野屋・高木英樹さん)
「ここら辺は東西の分かれ目ということで、丸餅と角餅の両方を使う家があるので」

食文化でいえば、関東と関西の中間地点ともいえそうな関ケ原町。
さらに“ここが境界線だ”といえる理由を町の担当者に聞くと…

(関ケ原町地域振興課・川島行彦さん)
「歴史的な背景があります。古来に“不破関(ふわのせき)”という施設が造られていることも大きな理由」

現在の関ケ原町にある“不破関”は、天武天皇が7世紀後半に設置した3つの関所のうちの一つ。この頃からこれらの関所より東側にある地域という意味で“関東”という言葉が使われるようになったともいわれています。

「ガチで調べました」 関ケ原町が作った東西文化の調査報告書

ところで、関ケ原町は同じように「関東と関西の境界線」を主張する関市についてどう思っているのか?

(関ケ原町地域振興課・川島行彦さん)
「個人的には“東西の分かれ目”と言われると、関ヶ原も食文化の分かれ目でもあるし、ジェラシーというかライバル心はある。ウチはこういうものを出しています。東西文化の調査報告書」

これは関ケ原町が6年前に作成した「東西文化」の調査報告書。“関東と関西の境界線”であることを裏付けるために、関ケ原町と西隣の滋賀県米原市などそれぞれの住民からアンケートを取り、食文化や言葉などの違いを徹底的に調査しました。

例えばカレーに入れるお肉は、関ケ原町側では半数以上が関東で一般的な“豚肉”だったのに対して、米原市側では半数以上が関西で一般的な“牛肉”という結果に。
また、「マクドナルド」の呼び方は関ケ原町側では約8割が「マック」、米原市側では半数以上が「マクド」という結果になりました。

(関ケ原町地域振興課・川島行彦さん)
「ガチで調べました。内容は深いです」

(関市観光課・林拓海さん)
「(Q関ケ原町の調査報告書になりまして…)牛肉が西に多い。へぇ~。一応、人口重心地が関市にありますので、それで見れば関市なのかなと」

(関ケ原町地域振興課・川島行彦さん)
「広辞苑の第7版にも書いてあるが、不破関、鈴鹿関、愛発関の古代の関所があるが、それよりも東側を関東と呼んでいるという記載がある」

(関市観光課・林拓海さん)
「人口の中心という意味では、関市の方が一歩上手なのかなと」

専門家に聞いた「事例によって境界線は移動する」

このままでは決着がつきそうにないので、日本の歴史や民俗学などを研究する専門家に聞いてみると…

(中京大学歴史文化学科・小早川道子准教授)
「(Q関東と関西の境界線はどこ?)ちょっとよくわからないんですよね。江戸時代に箱根の関所が重要になってからは、日本の歴史や民俗学などを研究する専門家に聞いてみると、箱根より東を関東と呼んだり、餅に関しても関西が丸い餅だといっても高知県あたりは四角い餅だったり…事例によって(境界線は)移動する」

つまり!

(中京大学歴史文化学科・小早川道子准教授)
「この辺りに線が引けるものが多いという点では、関市も関ケ原町も範囲の中にある」

関市と関ケ原町、どちらが関東と関西の境界線なのか?「天下分け目の戦い」。その決着は簡単にはつかないようです。

「チャント!」2022年5月3日放送

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