ついに姿を現した―。大分空港(国東市)と大分市とのアクセス改善のため、県が復活させるホーバークラフトが25日、14年ぶりに大分の海を疾走した。来春の運航開始を目指して試験走行を重ねる。
ホーバーの1番船は、大分市の大分港大在地区で船体が初めて公開された。
英国の工場で製造し、貨物船で運ばれて24日に大分港へ到着した。25日は朝から九州運輸局大分運輸支局の検査官が安全性をチェック。問題がないことを確認した。
船体を海に降ろし、英国から同行した操縦士が乗り込んでエンジンを動かした。午前11時過ぎ、機体がゆっくり浮き上がり、約30キロ離れた大分空港のターミナルに向けて水しぶきを上げて進んだ。30分ほどで到着した。
出発を見届けた県交通政策課の佐藤睦浩(よしひろ)課長補佐(48)は「ほっとした」と胸をなで下ろした。
早ければ10~11月に操縦訓練を始める。製造中のトラブルで全体のスケジュールは約2カ月遅れており、具体的な運航開始時期ははっきりしていない。
総事業費は114億円。県が計3隻を42億円で購入し、第一交通産業(北九州市)グループが運航を担う「上下分離方式」を採用する。2番船は11月下旬、3番船は来年1月中旬までに、それぞれそろう見通し。
運航会社「大分第一ホーバードライブ」(大分市)の小田典史(のりふみ)社長(51)は「県民の皆さんの期待に応えられるよう頑張りたい」と話した。
<メモ>
ホーバーは1971年から2009年の間、県内の民間企業が大分空港と大分市西新地の間で運航していた。ピーク時は年間約44万人が利用したものの、リーマン・ショック後の乗船客減少、部品調達難で廃止になった。