其田(十和田市出身)「結果残す」27日世界陸上男子マラソン

27日に世界陸上男子マラソンに臨む其田=7月5日、北海道紋別市(JR東日本八王子支社提供)
其田が箱根駅伝などで獲得したメダルを手に「入賞を目指して」と応援する父明人さん

 男子マラソンの其田健也(30)=青森県十和田市出身、JR東日本=が27日、陸上の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)の舞台に立つ。2024年のパリ五輪出場をにらみ、世界のトップアスリートとしのぎを削る。「出場するだけの大会にはしない。しっかり結果を残す」と意欲を燃やす其田。故郷の家族や恩師らは「入賞(8位以内)を目指しパリにつながる走りを」とエールを送る。

 「走るたびに記録を伸ばしてきた。年を考えれば限界に近いと思いながらも、まだまだ伸びるという期待もある」。十和田市で塗装業を営む父明人さん(62)が、世界に挑む息子への思いを語る。「おとなしい子だったけど、負けず嫌いで、やると決めたらやる男だから」

 其田は18年3月のびわ湖毎日で初マラソンに臨み、記録は2時間14分53秒だった。その後はレースごとにタイムを縮め、今年3月の東京は日本歴代4位の2時間5分59秒。日本陸連が定めたポイントランキングで1位となり、初の世界陸上出場を決めた。

 三本木小、十和田中学校ではサッカー部。同中では秋の県中学駅伝に向けて全校から選手を集めてつくる駅伝部にも所属し、1年生からレギュラーに。3年生の時に全国中学駅伝の1区で2位と快走し、陸上への道を選んだ。

 「高校、大学とも強いところに行って、実業団に入ってオリンピックを目指す」。父に語った言葉通り、強豪の青森山田高、駒澤大で活躍しJR東へ。パリ五輪代表を決めるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC、10月15日・東京)への出場権は22年3月の東京で獲得した。夢に向かって、着実に歩を進めてきた。

 「十和田市の皆さんの応援が力になっている。初めての日本代表でプレッシャーはあるが、自分がどれだけ世界で戦えるかとても楽しみ」。其田は今月下旬、市民に向けたメッセージで世界陸上への決意を披露。市役所のモニターに映し出されたその表情に力みはなかった。

 中学時代の恩師で十和田市陸上競技協会副会長の森昭生さん(54)は「勝負どころで結果を出す『外さない男』だった。パリにつながる走りで強豪のアフリカ勢に立ち向かってほしい」と期待する。明人さんは「中学の時は朝1時間早く出て先輩と走っていた。多くの人の世話になり、切磋琢磨(せっさたくま)する仲間がいたからここまで来られた。力を出し切ってくれれば」と願う。

 世界陸上男子マラソンは27日午後2時(日本時間)スタート。当地の「英雄広場」を発着点に、1周約10キロのほぼ平らなコースを4周する。

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