「市街地クマ」即応隊できた 山形市

クマに用いるスラッグ弾の射撃訓練に臨んだ山形市の「アーバンベア等対応チーム」=南陽市

 県内で相次ぐ市街地でのクマ出没を受け、山形市は猟銃による駆除などに即応する「アーバンベア等対応チーム」を結成した。最初の活動として26日、クマに用いるスラッグ弾を撃つ訓練を南陽市の赤湯クレー射撃場で行い、特性を確かめた。今後、市街地出没があれば速やかに対応する。

 市街地へのクマ出没は6月に酒田市と鶴岡市、7月に米沢市で発生した。対応チームは山形市内での発生に備えて、同市が山形猟友会(青山克己会長)の協力を得て結成。メンバーは同猟友会員らで構成する山形市鳥獣被害対策実施隊から選抜された25人。散弾に比べ威力が強く反動も大きいスラッグ弾の射撃に習熟したメンバーで、60~70代を中心に30代の若手もいる。「アーバンベア」(都市型クマ)の呼び方は、研究者らが近年、街中に出る個体の呼称として使っている。

 研修会には対応チームのメンバーと市職員ら計約30人が参加。射撃訓練は25メートル先の的を狙い、1人計10発を撃ち、熟練者らしく的の中心付近に弾を集めた。銃の扱いで約35年の経験がある仁藤良衛さん(70)=山形市上東山=は「市街地で銃を使うのは大きな緊張感が伴う。いざという場面で正確に撃てるよう技術を磨きたい」と語った。

 クマが住宅地に居座り、花火などでの追い払いなどが難しく人的被害が懸念される場合に、警察官職務執行法に基づく現場の警察官の命令を受け、ハンターが猟銃で駆除できる。射撃訓練前には、山形警察署生活安全課の担当者が命令の流れや県内の事例を紹介し、「銃による対応は最終手段だが警察としても皆さんの存在は心強い」と話した。

 対応チームは、11月17日にはクマの市街地出没を想定した市の実地訓練に参加する。

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