平戸神楽の「担い手」育成 神職の子どもら舞いの基本学ぶ

舞いの基本の所作を学んだ講習会=平戸市、亀岡神社

 神職だけで受け継がれる国指定重要無形民俗文化財「平戸神楽」の担い手を育成する後継者育成講習会が、平戸市岩の上町の亀岡神社(下條紀元宮司)であった。平戸、松浦両市から神職の子ども4人と巫女(みこ)を務める成人の計5人が、伝統の舞いの基本を学んだ。
 講習会は平戸神楽振興会(木田昌宏会長)が毎夏実施。小学2年生3人と成人女性は、神楽座の四方を払い、氏子の長寿を祈る「荒塩(あらしお)」などに挑戦。鈴と扇子を持つ順序、神楽座の四隅を払う手順を繰り返した。中学生1人は、神楽の所作を確認する現役神職18人の講習に加わった。
 今福神社(松浦市)の巫女、山口紗季さん(29)は神楽に欠かせない笛の手ほどきも受けた。「舞を奉納するうちに神楽を学びたくなった。本来は男性が対象の講習を受けられ勉強になった」。神職の父と参加した同市立福島養源小の松浦鈴乃さん(8)は「四隅を払う順番を覚えるのが難しかった」と話した。
 平戸神楽は17世紀、平戸藩主の命令を受けた藩士が全国を巡り、各地の要素を地元の神楽に取り入れ、完成させたとされる。24番(演目)まであるが、全てを舞う大々神楽は亀岡神社秋の例大祭(10月26日)だけ。

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