桜の管理「弘前方式」に学べ 名所持つ全国の自治体関係者、視察や指導求め青森県弘前市に

桜守の橋場さん(左から4人目)から弘前公園の桜の管理方法などの説明を受ける飯山市の職員ら
ソメイヨシノの剪定作業を行う職員ら。思い切った剪定が弘前方式の特徴だ=2月24日

 弘前公園の桜を毎年美しく咲かせる、青森県弘前市独自の管理技術「弘前方式」を学ぼうと、桜の名所を抱える県外の自治体などが現地視察に訪れたり、市職員を招いて指導を受ける活動が20年以上続いている。市公園緑地課によると、弘前公園の樹木医「チーム桜守」発足の2014年度以降、平均して年間5件以上受け入れ、弘前方式のポイントを伝えている。

 25日、長野県飯山市職員が同市の桜の名所「飯山城址(じょうし)公園」の桜再生のヒントを探ろうと、弘前市職員と園内を歩いた。

 何とか桜を再生する方法はないか-。この日、ワゴン車1台で10時間かけて弘前公園を訪れた飯山市職員6人は、切実な思いを抱えていた。飯山城址公園はかつて400本ほどのソメイヨシノがあったが、土塁復元などの整備によって250本ほどに減少。市民から再生を求める声があるが、弘前公園と同様、国史跡の制約があり、新たに植えることは難しいという。

 弘前方式はリンゴ栽培技法を応用した思い切った剪定(せんてい)や施肥、土壌管理などを駆使した桜の管理技術で、「桜切るばか、梅切らぬばか」の常識を覆したことで知られる。一般にソメイヨシノの寿命は60年程度といわれる中、弘前公園は樹齢100年以上のものが約400本と長寿を保っている。

 6人を案内した市職員で樹木医の橋場真紀子さんは具体的な技術を紹介。「実験的な剪定と経過観察を続けた結果、古木の腐った幹の内部に細かな『不定根』が出始め、地面まで伸びて太くなっている。まだ経過観察段階だが、これが将来、木を支える幹になると思う」と弘前方式の効果を伝えた。

 視察を終えた飯山市教育委員会の松木英文教育長は「桜を残していくためにこれほどたくさんやることがあるのかと驚いた。何より(飯山市にはいない)樹木医の存在も重要だ。非常に勉強になった」と語った。

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