それは彼本人だけではなく、チームにとって極めて大きなデビューだった。
日本時間8月27日、カブスのルーキー、ジョーダン・ウィックスがパイレーツ戦でMLB初登板・初先発。5イニングで9奪三振1失点。デビッド・ロス監督が「彼のような若い投手がこれほどの投球をするのは見たことがない」と褒めるほどの好投で初勝利を挙げた。
ウィックスは2021年のドラフト1巡目(全体21位)で入団した23歳の左投手。今季はAA級とAAA級で20試合に先発登板し、91イニングで7勝0敗、防御率3.55という投球を見せていた。球速はそれほど速くないが、ドラフト当時にはドラフト候補内で最高と評価されたチェンジアップなど様々な変化球で奪三振を奪う能力を評価されており、MLB公式が作成したプロスペクトランキングではチーム内10位にランクインしていた。
「夢の中でずっと想像していたけど、ここまでのものとは想像がつかなかったね」試合後ロッカールームでチームメートから祝福を受けた後そう語ったウィックスにとってはもちろんのことだが、彼の好投はカブスにとっても大きな出来事だ。
8月1日に今季エース級の投球を見せていたマーカス・ストローマンが離脱して以降、チームは5人目の先発投手を固定することができないでいた。不調のドリュー・スマイリーが救援に回ったこともあり、先発投手不足はカブスがプレーオフを目指す上での大きな課題だった。
ルーキーゆえの投球数制限があることは予想されるものの、ウィックスがこれほど質の高い投球を見せたのはワイルドカード戦線を戦うカブスにとって朗報だ。現在カブスはプレーオフ進出圏内だが、圏外にあるレッズとのゲーム差はわずか1ゲーム。1試合の結果が明暗を分けるかもしれない状況にある。
彗星のごとく現れた左腕の投球が、チームをプレーオフに導くことはあるだろうか。