京都・南丹に新たな炭焼き小屋完成 住民建築、寒さしのぎながら火の番

炭焼き小屋を建てる住民ら(南丹市園部町天引)

 京都府南丹市園部町天引で住民らが炭焼き小屋を建てた。そばにある窯を使う際、寒さをしのぎながら火の番ができる。炭は道の駅や朝市の人気商品で、森林の循環にもつながることから、住民らは「地域の核になる仕事を安定的に継承する拠点ができた」と喜ぶ。

 森林に恵まれる天引では炭焼きが盛んだった。約40年前に途絶えたが「天引の活性化と未来を考える会」は2016年、使われていない窯を補修し、忘れられつつあるなりわいを復活させた。70代以上の5人ほどが冬場に焼き、バーベキュー用によく売れるという。

 焼け具合を判断するため、煙の色を一日中見守る。寒さゆえに自動車の中で過ごしていたが、継承してくれる若者や興味のある地域外の人と一緒に煙を見たり、研修をしたりできる小屋を建てた。

 作業は7月下旬から8月上旬に行い、大工仕事が得意な大塚克幸さん(69)の音頭で、多い日は約10人が参加。完成した小屋は幅3.5メートル、奥行き4メートルの平屋で、窯を見るための窓を設けた。大塚さんは「木を見せる外観で山の中の風景になじませた」と語った。

 炭焼きの中心メンバーで同会の奥村睦夫元会長(85)は「大きく育ったクヌギを切って炭にすれば、山の管理になる。若い人にも加わってほしい」と話した。

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