オーストラリア移籍市場はさらに加速。チーム18離脱のパイに代わりレイノルズが加入/RSC

 来季に向けシリーズ3冠を誇る王者離脱に伴って“移籍市場”が活性化しているRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップだが、2024年に向けた玉突き人事はさらに加速。GMシボレー陣営のチーム18は、チームが2台体制に拡充された2020年に加入したスコット・パイとの契約終了をアナウンスすると同時に、先週の段階でペンライト・グローブ・レーシングを離脱したデビッド・レイノルズの移籍加入を明かしている。

 今季2023年、北米が誇る最高峰ストックカーであるNASCARカップシリーズに初挑戦し、衝撃的なデビューウインを飾って一躍『時の人』となった“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(トリプルエイト・レースエンジニアリング/シボレー・カマロZL1)だが、来季はその主戦場をアメリカ大陸に移すことが確実視されており、その後任にはオーストラリア大陸の初代TCR王者でもあるウィル・ブラウン(エレバス・モータースポーツ/シボレー・カマロZL1)が抜擢された。

 この動きに端を発し、南半球RSCでは冬場のシーズン真っ只中ながら“ストーブリーグ”が本格化。ブラウン離脱を許可したエレバス・モータースポーツは今季マット・ストーン・レーシング(MSR)でチームに初勝利をもたらしたジャック・ルブロークを獲得し、レイノルズの離脱を発表していたペンライト・グローブ・レーシングは、ドライバーとして2019年限りでの『引退』を表明していたリッチー・スタナウェイの起用をアナウンスした。

 そんな渦中にあって、活性化する移籍市場に反応を見せたのがチャーリー・シュワルコート代表率いるチーム18で、今季も全8戦を終えてダーウィンで勝利を挙げた元王者マーク・ウインターボトムがランキング11位につける一方、ほぼ互角の戦績で同13位に位置するパイとの離別を決断した。

「この4年間、チーム18との歩みは素晴らしいものだった。グループとして共有した経験に感謝している」と先週金曜にチームリリースを通じて謝意を述べた33歳のパイ。

「チーム、20号車のクルー、そしてファンの変わらぬサポートにも感謝しているし、このスポーツにおける新たな機会を見据え、ここから将来に何が起こるかも楽しみにしている」

 その発表からわずか2日後の日曜には、パイの後任として2017年の『バサースト1000』覇者であり、所属したエレバス・モータースポーツとグローブ・レーシングではチームを牽引するエースとして戦ってきたレイノルズの起用がただちに発表された。

Team 18は、チームが2台体制に拡充された2020年に加入したスコット・パイとの契約終了をアナウンスした
前戦となる第8戦『The Bend SuperSprint』では、そのパイが”bp Ultimate Racing”復刻カラーのカマロZL1をドライブした

■レイノルズと盟友ウインターボトムの再タッグが実現

 このチーム18移籍により、レイノルズ自身もかつての盟友ウインターボトムと再タッグを組むことになり、チームメイトとしてプロドライブ(現ティックフォード・レーシング)時代の最終年となった2015年に、ウインターボトムが初王座、レイノルズがランキング3位を記録した強力なラインアップが再現される。

「今は僕にとって本当にエキサイティングな時期だ。バサーストで優勝したとき、僕は(クルーチーフの)ブルーイン(・ビーズリー)とデニス(・ホイザー)と協力し大成功を収めた。今でも僕らはとても仲が良く、彼らの実績と仕事のすべてを尊敬している」と、その2名ともこのチームで共闘することが決まったレイノルズ。

「加えてフロスティ(ウインターボトムの愛称)とまた一緒にレースができるのも最高だ。人々は僕らがともに戦った最終年に、どんな戦績を残したか忘れているかもしれないね」と、過去5年間で3チーム目となった38歳。

「(代表の)チャーリーにはいくら感謝してもし切れない。僕はいつも彼自身と彼のチームの振る舞い方を尊敬してきた。面白いことに、僕はいつかチャーリーのためにレースをするかもしれないという気持ちをつねに持っていたんだ。チームに加わるのが待ち切れないよ」

 そう感謝の言葉を贈られたシュワルコート代表も「2024年に向け準備を進めるなかで、デビッド・レイノルズをチーム18に迎えることができて興奮している」と応じた。

「デビッドの功績とこのスポーツに関する広範な知識、その両面での実績は本当に印象的だし、我々がチーム18で築いてきた文化にぴったりとフィットするはずだ」と続けたシュワルコート代表。

「彼の加入はトラック上での成功を追求する姿勢と、組織に一流の人材を確保するという我々の取り組みと理念を反映している。これからも強力なパートナーシップと明るい未来を楽しめるはずだ」

「一方、過去4年間チーム18にとって貴重なドライバーであり、チームの成長と成功に多大な貢献をしてきたスコット・パイにも感謝を捧げたい。彼は2020年に単独チームとして初めて3つの表彰台を達成したときなど、素晴らしい瞬間をいくつか生み出してくれた」

「我々の歴史に刻まれる数々の傑出したパフォーマンスとともに、彼の勤勉、献身、そしてプロフェッショナリズムに感謝し、今後のレース活動の成功を祈っている」

「僕はいつかチャーリーのためにレースをするかもしれないという気持ちをつねに持っていた」と移籍決定のデビッド・レイノルズ
元王者マーク・ウインターボトムと、ふたたびのペア結成となった

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