大会前にけが、痛み残る体で世界準V バドミントン・奈良岡(浪岡高出) 父でコーチ・浩さん明かす

 バドミントンの奈良岡功大(22)=浪岡高出、FWDグループ=が各国の強豪と互角に渡り合い、コペンハーゲンで行われた世界選手権の男子シングルスで銀メダルを獲得した。コーチとして同行した父・浩さん(53)は28日、東奥日報の取材に応じ、「大会前のけがでどうなるかと思いつつ臨んだが、よく頑張った」と熱戦をたたえた。

 満身創痍(そうい)の体でつかんだ「銀」だった。今月上旬のオーストラリアオープンで複数箇所を故障。体調を戻すことに注力したが間に合わず、痛みがある中で大会に臨んだ。日々のケアやトレーニングで徐々に調子を整えていった。

 今大会、初戦から準決勝までの5試合はいずれも2-0で快勝。親子の戦略がピタリとはまり、浩さんは「よく2人で対戦選手のミーティングをやるが、今大会はお互いに時間がかからず、しっかりと攻撃と守備の展開を想定することができた」と振り返った。

 決勝の相手は、2018年の世界ジュニア選手権決勝、昨年の世界選手権2回戦で敗れた同じ22歳のクンラウット(タイ)。「絶対に負けたくない」(奈良岡)と対抗心を燃やし、第1ゲームは粘りのレシーブと隙を突く攻撃で奪取した。第2ゲームは接戦の末に惜しくも落とし、最終第3ゲームに初優勝の期待がかかった。

 しかし、勝負の最終ゲームは「故障箇所の痛みが出ていた」と浩さん。無理をしたプレーで今後に影響が出てはいけない-と、「スローなテンポにもっていきたかった」が、逆にスピードを上げた攻撃に圧倒され、1-0から10連続失点。4連続得点の後にも9連続で失点し、力尽きた。

 浩さんによると、奈良岡は試合後、体のケアや食事などのサポートをしてくれた周囲に感謝した上で、「銀メダルは素直にうれしいけど、悔しさも残る」と語っていたという。

 今後も中国オープン(9月5~10日)、香港オープン(同12~17日)、アジア大会(同28日~10月7日)と連戦が続き、「技術的に、われわれがどうこう言うことはない。けがやストレスの緩和などをサポートして調整していければ」と浩さん。「まだ五輪が決まったわけではないので、今まで通り一戦一戦積み重ねていきたい。青森県や青森市、浪岡に元気を与えられる存在になってほしい」と、戦い続ける日本の新エースにエールを送った。

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