【中国】上海の衣料品需要、回復傾向もコロナ前遠く[繊維]

上海市内の主要商業施設に出店する衣料品専門店の半数以上で売上高が前年に比べ改善していることが、紡織業の業界団体、中国紡織工業聯合会上海事務所などが実施した調査で明らかになった。ただ新型コロナウイルス流行前と比較すると依然として厳しい状態が続いている。

調査は中国紡織工業聯合会上海事務所、上海紡織品商業行業協会、東華大学が共同で実施した。市内主要9商圏の商業施設26カ所に入居する292の衣料品専門店と服飾品市場が集まる七浦路の8市場に入居する168の店舗、南外灘軽紡市場に入る40のオーダーメード店が対象。

このうち商業施設に入居する衣料品専門店は、調査対象の55.7%が「現在までの今年の売上高は前年同期に比べ増えた」と回答。ただ新型コロナ禍前の19年同期との比較では「減った」との回答が69.9%となり、「増えた」は19.2%にとどまった。

今年の客足は「前年同期に比べ増えた」との回答が58.2%。新型コロナ禍で外出自粛が続いていた前年の反動が出た。19年同期との比較では「減った」が7割を占め、「増えた」は19.2%だった。

七浦路と南外灘軽紡市場の店舗もほぼ同様の回答比率を示した。

■消費者3割が支出減少

18歳以上60歳以下の消費者1,023人にも調査を実施した。衣料品の支出に関する設問では全体の34%が「減らした」と回答し、このうち12.9%は「大幅に減らした」と答えた。「増やした」との回答比率は16.8%。

衣料品を購入する毎月の予算は「300~1,000元(約6,000~2万円)」が最多の44.3%で、次いで「100~300元」(24.7%)だった。今後予算を変更する計画があるか尋ねると「減らす」が26%、「増やす」が11.5%、「現状維持」が62.5%となった。

消費者の50.7%は「インターネットで衣料品を購入したことがある」と答え、今年に入って商業施設や商店で衣料品を購入した人の比率は22.4%だった。

報告は、「衣料品需要の回復基調が長期的に続くかどうかや、需要が新型コロナ禍前の状態に戻るかどうかは、現時点では読み切れない」と総括した。ただ衣料品への予算を削減する人が多いことを踏まえ、今後を楽観できないとも付け加えた。

■8割弱がコロナで収入影響

消費者に新型コロナによる収入への影響を聞いたところ、影響があった人は全体の77%以上を占めた。このうち「非常に大きな影響」があった人は5.3%、「比較的大きな影響」は25.8%、「比較的小さな影響」は46.5%となった。

© 株式会社NNA