チョコ題材に特別展 21美、国文祭に合わせ 「ショコラの街」発信

ステファン・ルルー「耐候性鋼」©StéphaneLerouxphoto:TomSwalens

  ●金沢が消費量全国トップ

 今年秋、県内で開催される国民文化祭(いしかわ百万石文化祭2023)に合わせ、金沢市などは金沢が全国トップの消費量を誇るチョコレートをテーマにした特別展(北國新聞社後援)を金沢21世紀美術館で開く。チョコを使って工芸的な美しさを探求するフランスの一流ショコラティエが手掛けた「本物」のほか、チョコに絡めた現代美術作品を並べ、「ショコラの街」を発信する。

 総務省の家計調査では、金沢は過去10年間の世帯当たり累計消費支出額で、チョコレートやケーキ、アイスクリーム・シャーベットなど20品目で全52都市中、1位となっている。

 金沢21世紀美術館の特別展「チョコレート 至高の名を与えられしもの」は、国民文化祭の地域文化発信事業として10月28日~11月3日に開かれる。国内外の作家15組が手掛けた約50点が並ぶ。

 五月女(そうとめ)晴佳さんの漆芸「melt」は赤い唇を造形し、チョコを口に含んだ時に溶けるイメージを連想させる。狩野佑真さんの「Rust Harvest」は自然に発生したさびのタイルを並べ、色合いからチョコに見立てた。

 本物のチョコを使った作品も展示する。世界屈指の技を持つフランス人ショコラティエのステファン・ルルーさんが制作した「耐候性鋼」は、立方体のチョコを配置したインスタレーション(空間芸術)となる。米国のヴィック・ムニーズさんがチョコで絵を描いて撮影した写真もある。

 会場にはチョコの歴史や文化を紹介する資料を並べ、10月29日にはルルーさんのトークイベントを行う。金沢21世紀美術館の担当者は、「チョコという一つの素材が表現者の手によって、バラエティーに富んだ展開を見せるところを楽しんでほしい」と話した。

五月女晴佳「melt」2021©HarukaSotomephoto:KichiroOkamura
ヴィック・ムニーズ「ピクチャー・オブ・チョコレート:ダイバー(シスキンドにならって)」1997 金沢21世紀美術館蔵 ©VikMuniz/VAGA,NewYork&JASPAR,Tokyo,2018

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