「幸せ実感」向上へ福井県と慶応大学が連携協定 宮田裕章教授が協力、県民アンケート分析

ウェルビーイングの政策推進に関する連携協定を結んだ慶応大学の宮田裕章教授(左)と杉本達治知事=8月28日、福井県庁

 福井県は8月28日、県民の「ウェルビーイング(幸せ実感)」向上に向けた政策推進のため、慶応大学と連携協定を結んだ。データサイエンスによるウェルビーイングの研究に取り組む同大医学部の宮田裕章教授の協力を得て、本年度はデジタル地域通貨を活用した池田町での健康づくり事業や県民アンケートの分析に当たる。

 日本総合研究所(東京)による2022年の都道府県幸福度ランキングで福井県は5回連続の総合1位となった。評価の指標には平均寿命や持ち家比率など客観的なデータが用いられている。県では、統計データで表される客観的幸福度にとどまらず、1人1人の多様な豊かさを実現し、主観的な「幸せ実感」を向上させる政策推進モデルの構築に取り組んでいる。

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 慶応大学との協定はその一環。宮田教授はデータサイエンスや科学方法論が専門で、新型コロナウイルス対策では厚生労働省やLINE(東京)と連携し全国調査に取り組んだ。

 協定に基づく取り組みとして本年度は、デジタル地域通貨を活用して県と池田町が取り組む実証事業に宮田教授が協力する。生活習慣病の改善につなげるため、ウオーキング歩数に応じてポイントを付与する事業で、行動変容に関する分析や主観的な健康感の把握に関して助言する。

 また、県が長期ビジョン実現に向けて毎年行っている約3千人を対象にした県民アンケートで、ウェルビーイングに関する設問を追加し、慶応大学の分析を踏まえて次年度以降の政策に反映させる。

 県庁で28日、協定締結式があり、杉本達治知事は「社会全体としてどのように幸福を高めていくか、幸せを実感できるか、福井県を一つの題材にして、互いに研究を深めていければ」とあいさつ。宮田教授は、5回連続幸福度1位の実績に触れ「1人1人が輝く、ウェルビーイング実現に向けた、未来への重要な手がかりが福井にあるのではないか。それをひもといていくお手伝いができれば」と意欲を見せた。

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