「垣根のない地域医療を」町出身医師、地元戻り診療 沼田医師(青森・六戸町出身)

今春から地元・六戸町での診療を始めた沼田医師。垣根のない地域医療を目指したいと思いを語る

 青森県六戸町出身の整形外科医・沼田優平医師(37)が、地元での医療に携わって半年を迎える。祖父で町長を3期務めた故透氏から続く沼田医院の3代目が今春、町国民健康保険診療所に着任。沼田氏は「医師と名乗る以上、専門以外も含めて、患者のニーズに応えられる医療を提供したい」と理想とする地域医療への思いを語った。

 -なぜ医師を目指したのか。

 「小さい頃、実家の医院が遊び場で、子どもからお年寄りまで優しく診療する父の姿を見てきました。自然と医師を目指すようになり、大学は父と同じ石川県の金沢医科大学を志望。六戸小学校を卒業後は大学に近く母の地元でもある富山県の中学校に通いました」

 中学、高校は大学に近い北陸の地・富山県高岡市で過ごし、内科、小児科などを診察する父・知明さん(68)の背中を追うように、現役で金沢医科大に進んだ。

 -整形外科医を目指したのはなぜ?

 「ハンドボールの強かった富山県での高校時代を除き、小学4年から野球をしていました。スポーツ医の思いもありましたが、地域での医療従事が理想で、スポーツにも関わる整形外科を選びました」

 大学を2011年3月に卒業し、金沢医科大の整形外科に入局。石川県内の病院で経験を積んだ。

 -13年から救急救命を選んだ理由は。

 「全ては六戸町の地域医療に生かすため。一般の人にとって専門は関係なく、医者は医者。何でも診られる知識が必要です。多様な知識を学び、経験を積みたいと思いました」

 -地元に戻って感じること、課題は。

 「幼少期を知る患者さんが『こんなに大きくなって』と親しげに話しかけてくれたり、症状を一生懸命話してくれたりとコミュニケーションがよく取れ地元の良さを感じます。野球の経験から、子どものけが予防に加えて、大人の運動指導にも取り組みたいと思っています。どの病院に通っても関係なく、垣根のない地域医療がしたいですね。父と一緒に働くという目標が実現しました。迷惑はたくさんかけましたが、同じ職業、立場になって相談し合い、よく話すようになりました」

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 <ぬまた・ゆうへい 1985年11月19日生まれ。2023年4月から六戸町国保診療所で火曜日の午前中診療。月曜、火曜午後、水曜は実家の沼田医院で勤務し、木~土曜は仙台市の病院で非常勤で勤務。リウマチ治療の技術を学ぶ>

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