県立博物館で「昆虫探し」 「SAGAむし結び」と連携  

キリギリスやハチの大名行列を表現した襖絵作品「虫行列図」(部分、提供写真)

 佐賀県の特徴的な自然や歴史、文化を紹介する常設展「佐賀県の歴史と文化」の本年度の第3期展示が、佐賀市の県立博物館で開かれている。夏休みの子どもたちに関心をもってもらおうと、「昆虫探し」をテーマに昆虫の標本や関連資料約35点を展示しており、佐賀の歴史や工芸品と虫とのつながりを感じることができる。

 今回は9月16日から3日間、県内で初めて開かれる日本昆虫学会に向けた企画「SAGAむし結び」と連携した。昆虫標本は佐賀市で見ることができるチョウやトンボを中心に展示しており、毒があるチョウを探すコーナーや、昆虫採取の心得などを記したパネル展示もある。

 このうち、ふすま絵「虫行列図」は、江戸から明治期にかけて佐賀を代表する画家の一人だった岸天岳(小城出身)の作品。田んぼの中をキリギリスやハチたちが、虫かごや蜂の巣を担いで大名行列のように歩く様子を繊細に描いている。

 染色家の故鈴田照次さん(白石町出身)の型絵染着物「南の花文」は、南国の花デイゴを着物全体に表現した作品。紅色の原料はセミやアブラムシなどの仲間のカイガラ虫から抽出しており、昆虫が工芸や日本画の絵の具などに用いられてきたことを知ることができる。

 また、江戸時代に刀身を納めたさややつばなどの「拵(こしらえ)」のデザインには蛍やテントウムシ、スズムシが表現され、ルーペなどで見つけることができる。

 同館学芸員の松本尚之さん(35)は「虫に特化した展示は珍しく、歴史的な虫と工芸品とのつながりを知る良い機会。子どもたちに気軽に見に来てほしい」と話している。(坂本有佐)

 ▼県立博物館2号展示室で9月18日まで。入場無料。開館時間は午前9時半から午後6時まで。月曜休館(祝日を除く)。

紅色の原料にカイガラ虫を使い、南国の花であるデイゴの花が着物全体に表現された型絵染着物「南の花文」(提供写真)
「拵」の一部分に表現されている蛍やテントウムシなどをルーペを通して見ることができる=佐賀市の県立博物館

© 株式会社佐賀新聞社