ジャニーズ前社長の性加害問題 再発防止特別チームの調査公表 行為を認定、救済と現社長の退陣など求める

ジャニーズ事務所は29日、公式サイトに「外部専門家による再発防止特別チームに関する調査結果について」のタイトルでインフォメーションを掲載。「弊社のガバナンス上の問題点の把握及び再発防止策の策定・提言に関する調査について、本日弊社は調査報告書を受領しましたので公表いたします」と、調査報告書をアップした。

19年に死去したジャニー喜多川前社長(享年87)について「古くは1950年代に性加害を行って以降、ジャニーズ事務所においては1970年代前半から2010年代半ばまでの間、多数のジャニーズJr.に対し、長期間にわたって広範に性加害を繰り返していた事実が認められた」とした。

公開は再発防止特別チーム(座長・林真琴前検事総長)が同日に、都内で記者会見に先立って行われた。

5月26日から8月29日まで行われた調査の報告書概要は次の通り。ヒアリングは被害者等23人、ジャニーズ事務所関係者等18人、41人に実施された。

報告書では「本件調査の結果、ジャニー氏は、古くは 1950 年代に性加害を行って以降、ジャニーズ事務所においては 1970 年代前半から 2010 年代半ばまでの間、多数のジャニーズ Jr.に対し、長期間にわたって広範に性加害を繰り返していた事実が認められた。ジャニーズ事務所は、これまで、ジャニー氏の性加害に関する週刊文春の特集とそれに関する裁判、暴露本の出版、BBC からの取材要請等があったが、ジャニー氏の性加害の事実を調査するなどの適切な対応をしなかったことが認められた」と事実関係を挙げた。

原因は「ジャニー氏の性嗜好異常」「メリー氏による放置と隠蔽」「ジャニーズ事務所の不作為」「被害の潜在化を招いた関係性における権力構造」の4つ。

背景には「同族経営の弊害」「ジャニーズ Jr.に対するずさんな管理体制」「ガバナンスの脆弱性」「マスメディアの沈黙」「業界の問題」が存在するとした。「ガバナンスの脆弱性」については、取締役会の機能不全と取締役の監視・監督義務の懈怠、内部監査部門の不存在、基本的な社内規程の欠如、内部通報制度の不十分さ、ハラスメントに関する不十分な研修を指摘した。

再発防止策に「ジャニーズ事務所は、組織としてジャニー氏の性加害が事実であることを認め、被害者に真摯に謝罪し、すみやかに被害者と対話を開始してその救済に乗り出すべきである」と指摘し「ジャニーズ事務所は、被害者に対し、被害回復のための適正な補償をする『被害者救済 措置制度』を直ちに構築すべきである」と続けた。また「人権方針の策定と実施」「研修の充実」を求めた。

そして、ガバナンス強化のため「ジャニーズ事務所が解体的出直しをするため、経営トップたる代表取締役社長を交代する必要があり、ジュリー氏は、代表取締役社長を辞任すべきと考える。これにより、ジャニーズ事務所におけるガバナンス不全の最大の原因の一つである同族経営の弊害も防止し得ることとなる」と現社長退陣の必要性を挙げた。

「取締役会の活性化」「社外取締役の活用」「内部監査室の設置」「基本的な社内規程の整備」「内部通報制度の活性化」「相談先の拡充とアドボケイトの配置」「CCOの設置」「再発防止策の実現度のモニタリングとその公表」などを提案。そして「ジャニーズ事務所は、すみやかにメディアとのエンゲージメント(対話)を開始して、二度と同様の性加害の発生を許さないことを宣言し、そのために人権方針を定め、ガバナンス体制も整備して再出発するという強固な決意を明らかにし、今後はメディアとの相互監視、相互牽制により人権侵害の再発を防止していく姿勢を示すことが求められる」とした。

(よろず~ニュース編集部)

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