被災地で活躍 “技術系ボランティア” 床下修繕など専門的な作業を担う「技術」支援ボランティアの育成急務(静岡県)

2022年9月、静岡県内に大きな被害をもたらした台風15号。浸水被害を受けた地域で活躍したのは、床下修繕などを担う「技術系ボランティア」です。今後の災害に備え、技術系ボランティアの育成が求められています。

8月20日、静岡市清水区で開かれた台風15号についてのシンポジウム。静岡大学が、身近な自然災害について市民に知ってもらい防災意識を高めようと開いたもので、静岡大学の教員ら6人の講師が、台風15号の被害状況や復旧に向けた課題について講演しました。地域社会学が専門の静岡大学情報学部 望月 美希 助教授は、今後の災害に備え、床下修繕を行う技術系ボランティアの重要性を話しました。

(静岡大学情報学部 望月 美希 助教授)

「ボランティアを育成していくことを、復興というフェーズの中で行うことも重要」

静岡市清水区では2022年9月、台風15号の記録的な大雨により、巴川が氾濫し、多くの家屋で床上・床下浸水などの被害が出ました。そこで、床下の乾燥や消毒など、専門的な作業を行い活躍したのが…技術系ボランティア「しぞ~かまめっ隊」です。

8月24日、沼津市での活動に同行させてもらいました。こちらのお宅は、2023年6月の記録的な大雨で浸水被害を受けました。この日は、依頼のあった家の床下の状態を確認するといいます。防護服に身を包むと…床をライトで照らしながら、ほふく前進で状態を確認していきます。

(しぞ~か・まめっ隊 鈴木 奏恵さん)

「沼津で結構降った日があったので、床下に水たまりはなくても、湿度が高くぬれているような感じがあった」

湿気によりカビが生える恐れがあることから、もう一度、床下の消毒に訪れることにしました。一方こちらのお宅は…床下浸水の被害にあったといいます。

(まめっ隊)「だいぶ水がたまっています」

これまで、濡れた部分の断熱材を撤去し、床下を送風機で乾燥させるなど、何度かこの家を訪れていましたが、住人の女性に呼吸器のアレルギー症状が出たため、壁にカビが発生していないかチェックするといいます。工具を使い、壁の一部を開けてみると…

( しぞ~か・まめっ隊 海野 孝行さん)

「この壁はカビが発生していない」

幸い、カビは見つからず依頼者も安心した様子。

(床下浸水した家の人)

「気持ちが前向きになる、やってくださるからすごいなと思って、やっていただいてよかった、安心する」

被災者を「技術」で支援するボランティア。しかし、現在のメンバーは15人で、被災者のニーズに応えきれないのが現状で、仲間のさらなる育成に力を入れています。

(しぞ~か・まめっ隊 海野 孝行さん)

「被災当時、社会福祉協議会で一軒一軒確認しているが、その中でも確認漏れ、声を上げられない、上げにくい方もいて、依頼者は不安な気持ちでいっぱいだったと思うが、皆さん笑顔を取り戻してきて、それがやりがいにもつながっている」

© 株式会社静岡第一テレビ