【インドネシア】排ガス対策、企業に報告義務[経済] 首都圏製造業など、罰則適用も

インドネシア産業省は、ジャカルタ首都圏で操業する製造業などに対し、大気汚染対策の実施について報告書を毎週提出することを義務付けた。写真はジャカルタ特別州の街中の様子=29日(NNA撮影)

インドネシア産業省は28日、ジャカルタ首都圏で操業する製造業や工業団地運営事業者などに対し、大気汚染対策の一環として排ガス対策の実施について報告書を毎週提出することを義務付けたと発表した。12月31日まで適用する。事業者からの報告を、有効な大気汚染対策に生かす狙い。一方、報告書の提出を怠った事業者に対しては罰則を科す。

産業相回状『2023年第2号』を25日付で公布、即日施行した。

首都ジャカルタ特別州、西ジャワ州、バンテン州で操業する産業事業者と工業団地運営事業者のうち、発電工程や製造工程、廃棄物が、大気環境を損なったり排ガスを発生させたりする場合が対象となる。

対象事業者には、排ガス対策を実施し、毎週木曜日に対策の報告書を提出することを義務付ける。報告書は産業省の電子許認可システム(SIINas)から提出する。

報告書では、産業事業者は◇排ガス抑制機器の設置状況◇大気汚染対策の責任者と認証の取得状況◇排ガスを発生させる可能性のある原材料や燃料、「有害・有毒・危険(B3)」物質の取り扱い、保管手順◇大気汚染が悪化した場合の緊急事態における対策手順◇重要な排ガス発生地点の監視データ——を記載する。

工業団地の運営事業者に対しては、工業団地内で排ガス発生源となる企業リストや、当該企業の排ガス発生状況の監視データなどの提出を義務付ける。

産業相通達『23年第3599号』(21日付公布・施行)では、事業者からの報告書の内容は、産業省の各局長や各課長らから成るチームが精査すると規定した。報告書の企業の生産現場などの視察や監査、排ガス抑制機器の稼働状況の確認などを行う。

産業省強化・地域化・国際産業アクセス局の強化・産業環境課のビノニ課長は、28日にオンラインで開かれた産業相回状の周知イベントで、現行法規に対する違反が発覚した場合は罰則を科すと説明した。

同省標準化・産業サービス政策庁(BSKJI)のドディ長官は、大気質の改善には短期的戦略と長期的戦略の両方が必要となると指摘。各事業者からの報告を基にして適切な対策を実施したい考えを述べた。

■環境省、11社に行政処分

ジョコ・ウィドド大統領は28日、首都圏の大気質改善に向けて限定閣議を主宰。この中でシティ環境・林業相は、24日までに首都圏の11社に対して、規定に違反して大気汚染を引き起こした疑いがあるとして行政処分を下したと明らかにした。今後も1カ月以上、監視活動を続けるという。

シティ氏はまた、27日に人工降雨措置を実施したと明らかにした。降雨が観測された西ジャワ州ボゴールでは大気質の改善が確認されたとして、今後も人工降雨を積極的に活用する必要があると述べた。このほか、高層ビルの屋上などから水を散布することでも同様の効果が見られるとして、実施する方針を明らかにした。

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