【寄稿】残暑が長くなって…(WEB版)/POKKA吉田

ちょうどガンダムSEEDが導入されて盆商戦後半のタイミングで書いている。盆商戦中には台風7号の上陸もあって広範囲に警戒が拡がったが、今年はコロナ禍明けでは初めてとなる盆。今年のゴールデンウィークもそうだったが盆も相当な人の流れが見込まれており、なんとなく20日まで盆が続くような印象がある。

昨年までのコロナ禍では盆の長期休暇を設定しない企業も多かったようだが、今年は明けたから長期休暇の企業の話をかなりたくさん聞いている。盆休みが「短い」ところで11日の山の日から16日までというのが一般的であり、もう20日まで連休にしている、なんてケースも珍しくはない。台風7号の進路の地域の人たちにとっては17日から働かされてはせっかくの盆もプライベート充実が半減するから、これは悪いことではないと思う。

さて、現在、気象庁の3ヶ月予報では10月まで全国的に平均気温が高め。要するに残暑がとても厳しいという予測になっている。エルニーニョ現象が原因らしい。9月は北日本だけが平年並みと予測されており東日本は平年並みか平年より高いとなっている(西日本は平年よりも高い予測)が、10月が日本全国で平年より高いという予測だ。私は子どもの頃、「残暑」という言葉は長くて9月までを指すと思っていたが、令和の今、10月まで残暑らしい。

気温が高いと、ぱちんこ営業的にはどうしても車内乳幼児放置対策が、となる。既に今年、死亡事件とはならなかったが2件、放置事件が発生した。いずれも死亡事件とならなかったのは業界側(スタッフ)の発見など対応が適切だったからであり、そのことは今年の全日遊連の総会時に警察庁の松下保安課長の来賓挨拶でも感謝の言葉が出てきたわけで、業界の(特に個々の店舗のスタッフの)駐車場巡回などの対応は評価されている。しかし、いくら長年やっていて慣れているとはいえ、気温が高い日が続くのは車内乳幼児放置対策文脈では良い話であるはずがない。この点、しばらく油断できない状況が続くことになる。

エネルギー相場の文脈でも問題は大きい。今、最も世間で話題になっているのはガソリン価格の急騰だ。高値の理由は三つあると言われている。

一つは原油価格の高止まり。一時期ほどの急激な暴騰は抑えられているが、ウクライナ情勢やロシアの輸出規制、アメリカや中国の旺盛な需要などが高止まり要因となっている。

一つは円安。1ドル150円に再び届くかも、というレベルの円安はやはり影響は大きい。

そしてもう一つは政策。実は政府は予定では来月に燃料油に対する補助金を終了させる。補助金そのものは昨年頭から導入されており、目的はもちろんコロナ禍による経済への悪影響を払拭すること。岸田首相の政治判断次第では10月以降も補助金が存続する可能性もあるが、当初予定では9月末で打ち切られる。今年6月からかなり急激に補助金を減らしてきているのが実態で、これが現在の高値になっている最大の要因とも言われている。たしかに補助金を減らしたタイミングから8月までずっと高騰が続いているわけだ。

また、これらの原油価格や為替については単純にエネルギー相場であるから、今もなお負担が重い電気代などへの影響が良いわけがない。原油相場は政府がコントロールできるはずもないが、為替は原油相場よりは介入できるわけで、さまざまな視点で政治への要請は増えている。が、油はCO2をまき散らすものでもある。脱炭素も政府の重要政策であり、このバランスはかなり難問でもある。

ホール法人においては、店舗内でエアコンをケチるようなことはしないはずだが、バックヤードはどうだろうか。本誌でも何度か触れたが、今年は10月まで「全国的に残暑が厳しい」というのが「気象庁の予報」なのだから、バックヤードの空調をケチってスタッフの健康を害するのはどう考えてもダメなことである。クールビズの期間延長など、エネルギーコストを増やさずともできる対応も含めて、労働環境を適正に保ってほしいものだ。

今年の夏、いや夏というよりも5月の後半くらいからだろうか、都心部を日中歩いているとかなり見かけるようになったのが「USBファン」と「日傘」だ。東京都内しか現状はわからないが、明らかに昨年までとは異なって急増している。印象としてはUSBファンは若者に、日傘は年齢層を問わず、急増しているように見える。いずれも男性よりは女性の方が多いが、本当にどこもかしこも目にするようになった。

それだけ「暑い」ことが前提で人々は過ごしている。昭和の時代はともかく、平成から令和の時代のぱちんこ営業の基本の一つは「店内の居心地が良い」もあるはずだ。外が暑い上に暑いことを前提に消費者は活動している。開店前の並びの管理一つとっても、何かしら工夫できる余地は残っているかもしれない。

とにかく台風や豪雨の被害が何年も連続して目立っている。公共交通機関はあらかじめ気象庁の予報に基づいて計画的に運行を止めることを日常化してきたし、人々もそのことにあまり文句を言わなくなっている。業界的には特にホール法人や遊協組合に多いが、自治体と防災協定を結び、緊急時には避難所としたり物資を援助したり駐車場を開放したり、という店がこの数年は特に増えてきた。かなり古くからこういう社会貢献をする店は存在しているが、急増しているのはそれだけ台風や豪雨被害をはじめとして自然災害が増えているからだろう。こういう取り組みは地域の住民にとってとても良い印象を与えることになる。例のビッグモーター社の狂った実態の報道や社会の反応に照らせば、悪い印象を与えて大損をするのも道理、良い印象を与えて得をするのも道理である。

今年は通常国会閉幕後に衆院解散総選挙があるのでは?と目されていたが解散はなかった。東京では自公の協力関係は地に堕ちたというくらいに崩壊しかけているが、果たして今年総選挙があるのかどうか。今年春の統一地方選と衆参の補選で維新の強さを思い知ったはずの岸田首相は解散する覚悟を決めることができるかどうか。衆議院の総選挙は選挙区(比例も小選挙区重複組が多く比例代表の選挙区も地域に分かれている)だから業界挙げてこの一人を、という参議院議員選挙の全国比例とは異なるが、遊技産業議連の重要なメンバーは衆議院議員なのだから、総選挙があるならそれは重要になる。岸田首相の腹次第である。

ひとまず盆の後半にこのようなことを考えてみた。今、私は9月のソードアートオンラインがどうなるかに最大の関心が向いている。もちろんスマパチ契機でのぱちんこ市場活性化を見たいならこの機種は成功してもらいたいものだ。それがわかるのは来月、まだ暑いさなかの9月である。

■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。

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