少年の主張から

 海ってこんなに青いの…と感動を語る“都会の子”の言葉に驚いた土橋真采さん=松浦市立志佐中=は標準語を使うことも忘れてこう問い返した。「海が青くないなんてこと、あると?」-今年の春、全国の中学生が沖縄に集まった研修会でのことだ。他県の同世代との交流がふるさとの魅力を再認識させてくれた▲平戸市立生月中の白石真央さんは5歳から書道を続けている。スマホはとても便利な道具だけど「手で書いた文字には想いが乗り、正直な気持ちが相手に伝わる」▲対馬市立久田中の増田優唯さんは、スマホの送信ボタンを押す前に文面を一度読み返すことにしている。「見えない相手のことを『考える』ことを省くと、言葉はどんどん鋭い凶器になっていく」と感じるから▲「生きる」って何だろう-。佐々町立佐々中の坂本琴和さんは考える。笑うこと、泣くこと。自分の意見を持つこと、相手の意見を受け入れること…。「辛(つら)いことにもたくさん出合うけど、きっと同じ数だけの幸せにも出合えるよ」▲同じ佐々中の今村信人さんが教えてくれた。「聞く」は、声や音が自然に耳に届くことをいう文字。でも「人の話は耳と目と心で『聴く』もの」▲中学生の「少年の主張」大会から。参加者全員の言葉を紹介できないことが、今年も心苦しい。(智)

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