画面越しにお買い物を 長崎・雲仙で「仮想スーパー」実証実験 長崎大が買い物弱者支援

「キャベツを1つ」などと画面越しに商品を注文する高齢者=雲仙市吾妻町

 高齢者らが食料品などをオンラインで購入できる「仮想スーパー」のシステムを開発している長崎大経済学部の西村宣彦教授のゼミが23日、長崎県雲仙市吾妻町で実証実験を実施した。高齢者ら3世代が集まり、仮想スーパーで取り寄せた食材を調理して味わった。
 同ゼミは2021年度から、同市で買い物弱者支援をテーマに研究。同市社協の高齢者サロン参加者が、仮想スーパーを利用できる仕組みを模索している。
 今回の実証実験は吾妻町の吹之原公民館であり、地元の高齢者、児童とその保護者ら計32人が参加した。千々石町のスーパー売り場をオンラインで中継し、小型カメラとマイク付きの眼鏡型端末「スマートグラス」をかけたゼミ生や精肉販売員が商品を紹介。その様子を画面越しに見た高齢者らが「グラム数は」などと質問しながら注文。購入した商品はゼミ生が公民館に運び、参加者は冷やし中華などを作った。

仮想スーパーで購入した食材で作った料理を3世代で味わう参加者

 参加した女性(83)は「公民館で買い物ができ、運んでもらえて便利。皆で食事をするのも楽しい」、市立大塚小4年の松本悠辰君(9)は「画面越しに買い物できるのが面白かった」とそれぞれ感想。同大経済学部3年の松永樹奈さん(20)は「スマートグラスは軽くて違和感がなかった。町の人たちだけでもできる方法を探りたい」と語った。
 本格運用に向けて機器設置や操作、商品配達の人材確保などが課題。今後も試行を続け、システムを完成する。

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