軍艦島は保存すべき? 大村高生が東京の高校生と議論 新設の文理探究科で特別授業

意見を発表する大村高の生徒=大村市、大村高

 長崎県長崎市の世界文化遺産「端島(軍艦島)」を保存すべきか-。大村市久原1丁目の県立大村高(原昌紀校長)に今年新設された「文理探究科」の1年生80人が今月、軍艦島の保存の是非を考える特別授業に臨んだ。東京の高校生10人をゲストに招き、賛成、反対双方の立場から白熱の議論を交わした。
 文系、理系の枠を超えた探究学習に取り組む同科。特別授業は根拠を持って判断する力を養おうと企画された。また、育った環境が違う同年代の生徒と交流することを目的に、東京の難関校、筑波大付属駒場高と東京学芸大付属国際中等教育学校から各5人が来崎。議論に加わった。
 生徒らは7月から土木の専門家の講義を受け、軍艦島の概要や崩壊状況などについて学習。今月上旬には軍艦島を船で周遊し、長崎市の職員や元島民の話を聞いた。今後どのようにあるべきか考えを深め、意見をぶつけ合った。
 23日には代表者が文化庁職員にオンラインで意見を発表。大村高の「保存すべき」班は、軍艦島が持つ価値の重要性や経済効果への期待を理由に挙げ、グッズ展開などさらなる活用を提案した。「保存に反対」班は、修繕に多額の費用が発生する上に自然災害の影響を受けやすく、安定収入が得られないと主張。仮想現実(VR)で後世に伝えることに経費を割くべきとした。東京の2校の生徒も考えを述べた。
 大村高1年の松岡幸平さんは「東京の生徒は僕たちと視点が違い、不完全な考えでは質問に答えられなかった。いろいろと気付かされることがあった」と話した。同校の川久保晃一教諭は「社会のリーダーを育成するというコンセプトで実施した。同年代の子たちの考え方に刺激を受けたのでは」と語った。

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