「なぜ流すんだ」「あなたたちを爆破する」処理水、青森県内にも迷惑電話

 東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡る迷惑電話が青森県内の観光施設などにもかかってきている。中国からの発信とみられ、「なぜ処理水を流すのか」との抗議も。一部施設では海外からの来館予約がキャンセルとなった。

 弘前市の観光施設「津軽藩ねぷた村」では、処理水が放出された24日に迷惑電話が1件あった。自動音声で「なぜ処理水を流すんだ」という内容だったという。

 また、香港からの来日客の来館予約が4件キャンセルになったほか、香港の食事予約客から「魚料理を別の食材に変えてほしい」との連絡が1件あったという。

 一方で、これまでと変わらず観光を楽しんでいく香港の客もおり、現時点で影響は限定的。同施設の檜山和大助役は処理水放出の風評被害が広がるのを懸念し「インバウンド(訪日客)は香港などからの客が多いので心配。『処理水は安全だ』と言われても心配になる気持ちは分かるが…」と話した。

 青森市の県営浅虫水族館には25日に約10件、26、27日には数件ずつ、中国からとみられる迷惑電話があった。発信元はいずれも中国の国番号「86」から始まるが、番号はそれぞれ異なっていた。中国語が話せる職員がいないため電話の内容は分からず、スタッフの一人は「声を荒らげるような話し方だった」と語る。29日にも「86」から始まる番号から着信があったが、電話をとらなかったという。

 青森市の別の観光施設にも、25~27日に同様の迷惑電話が計5件あった。日本語の自動音声で「なぜあなたたちは汚染水を流すのか。あなたたちを爆破する」と繰り返したり、中国語で何かを叫んだりする内容だったという。

 このほか三戸町にも中国からとみられる無言電話が1件あった。県によると、県庁の代表電話には迷惑電話はきていないという。

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