大失敗に終わったエンゼルスのオールイン 8月は30球団中最低勝率

「このチームで勝ちたい」という大谷翔平の望みをかなえるため、トレード・デッドラインで大補強に打って出たエンゼルスだったが、日本時間8月30日、トレード補強した4選手を含む6選手をウエーバー登録したことが報じられた。もともと分の悪い賭けではあったものの、8月はメジャー30球団中ワーストの7勝19敗と大きく負けが先行。借金は今季ワーストの7まで膨らんだ。オールインからわずか1ヶ月でのチーム解体。エンゼルスの賭けは大失敗に終わった。

まず、今季のエンゼルスのトレードを振り返ってみよう。内野手に故障者が続出するなか、6月下旬にマイナー2投手をメッツへ放出してエデュアルド・エスコバーを獲得。ロッキーズともトレードを成立させ、マイナーの投手との交換でマイク・ムスタカスを手に入れた。この2件のトレードは「補強」というより「補充」の意味合いが強く、大きな出血を伴ったわけではなかった。

7月に入って大谷のトレード放出の可能性が取り沙汰されるなか、大谷を放出しない方針を固めたことが報じられると、エンゼルスはすぐさま「補強」に動いた。カイ・ブッシュ、エドガー・クエロという2人のプロスペクト(若手有望株)をホワイトソックスへ放出し、ルーカス・ジオリトとレイナルド・ロペスを獲得。外野のレギュラーの一角を担っていたテイラー・ウォードが離脱すると、7月末にはマイナー2投手との交換でロッキーズからランドール・グリチックとC・J・クロンを手に入れた。さらに、トレード期限最終日にはメッツからドミニク・リオンも獲得。9年ぶりのプレーオフ進出を目指して勝負に出たが、この時点でエンゼルスのプレーオフ進出確率は20%程度しかなく、分の悪い賭けであることは否めなかった。

戦力アップしたはずのエンゼルスは、強豪チームとの対戦が続く8月のスケジュールのなかで、「2勝1敗ペースが必要」と言われていたにもかかわらず、1勝2敗以上のペースで黒星を重ね、プレーオフ争いから完全に脱落。大谷が右肘の内側側副靭帯を損傷するというショッキングなニュースもあった。オールインの結果、エンゼルスが得たものはメジャー最低勝率の1ヶ月。もともと低評価だったマイナー組織はさらに弱体化してしまった。

6選手をウエーバー登録した今回の動きは、ぜいたく税の支払いを回避するためのサラリーダンプであり、すでにトレード期限を過ぎているため、ルーカス・ジオリトやマット・ムーアを放出したところでエンゼルスは何の対価も得られない。結果だけを見れば、エンゼルスはわずか1ヶ月しか持たなかったオールインのために多くの若手選手を手放したことになる。

ザック・ネトやノーラン・シャニュエルの台頭といった明るい話題もあった今季のエンゼルスだが、残念ながら来季以降の展望は明るくない。今季終了後にFAとなる大谷はこのエンゼルスにとどまるのか。それとも別のチームでプレーすることを選ぶのか。大谷がワールドシリーズ制覇を最優先の目標に掲げるのであれば、エンゼルスは「最適の場所」とは言えないだろう。

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