車いすの「少年」バンド、京都・丹波で活動中 演奏に込める思いとは

4人組バンド「Wheel Chair Boys」のメンバー。(左から)吉田さん、関本紘輝さん、関本泰輝さん、八木さん=南丹市八木町・市八木市民センター

 京都府の丹波地域を中心に活動する男性4人組のバンドがいる。「Wheel Chair Boys(ウィール・チェア・ボーイズ)」。日本語に訳すと「車いすの少年たち」が示す通り、メンバー全員に障害があり、車いすで生活している。丹波支援学校(南丹市八木町)の同級生だった4人は、なぜバンドを組み、どんな思いで活動しているのか。

 メンバーは亀岡市の関本泰輝さん(19)と、双子の兄・紘輝さん(19)、吉田琉星さん(20)、南丹市の八木嘉恒さん(19)。八木さんは筋ジストロフィー、ほかの3人は脳性まひで、車いすで生活を送っている。

 泰輝さんは歌うのが大好きで、中学1年生の時からボイストレーニングに取り組んでいる。一方で吉田さんは中学3年の時にロックバンド「BOOWY(ボウイ)」に衝撃を受け、ギターを始めた。高校で一緒になったのをきっかけに「泰輝と一緒にバンドがやりたい」と吉田さんから誘い、2019年5月に2人で始動した。

 だが、翌年から新型コロナウイルスの流行が始まり、演奏する機会が失われた。3年生になった22年に徐々に活動ができるようになり、10月に仲が良かった紘輝さんと八木さんが加わって現在の構成になった。

 ボーカルは泰輝さんで、ギターの吉田さんは「力強くて音程が本当にずれない」と評価する。紘輝さんはマラカスを担当し、リズムを取る役割という。

 手しか動かないため楽器を演奏できない八木さんは、サウンドプログラミング(音響合成)を駆使する。ピアノやドラム、バイオリンの音を事前にパソコンでプログラムし、会場で流している。

 定期的に南丹市八木市民センター(八木町)で練習し、主に丹波2市1町のイベントに出演している。現在はカバー曲のみだが、4人はオリジナル曲の制作にも意欲を示す。

 どんな思いで活動しているのか尋ねると、4人は事前に考えてきたというメッセージを紹介した。

 「僕たちがみんなのまえに出ることで、しょうがいのある人たちのことを知ってもらいたいです。このボーイズのバンドかつどうを見てもらって、こんなに楽しんでいるってことをつたえたいです。そして、どんな人でも社会さんかできる世の中になってほしいです」

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