メルセデスF1代表、オランダでの戦略ミスを激しく後悔「タイヤの判断を完全に誤り、上位獲得のチャンスを逃した」

 メルセデスF1チーム代表トト・ウォルフは、F1オランダGP決勝でメルセデスは、コミュニケーションと戦略上の判断において失敗を犯し、その代償を払うことになったと認めた。

 スタート直後に雨が降り出し、すぐさまスリックタイヤからインターミディエイトに切り替えることを選んだドライバーたちは大きく順位を上げた。しかしメルセデスのピットウォールは、海からやってきた突然の雨が長続きしないと考えたため、ドライバーふたりをピットインさせるのが遅れた。

 ルイス・ハミルトンは3周目、ジョージ・ラッセルは4周目と、ほとんどのドライバーたちよりも遅いタイミングでタイヤ交換を行い、それがふたりのチャンスを奪うことになった。

 最後尾まで順位を落としたハミルトンは、最終的には6位まで挽回。一方、予選で3番手と好結果を出したラッセルは、表彰台の見込みがなくなった後、他車との接触でタイヤがパンクし、17位に終わった。

2023年F1第14戦オランダGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)

「我々は壊滅的なまでに長くステイアウトしすぎたと思う。完全に間違っていた」とウォルフは『Sky Sports F1』に認めた。「徹底的な見直しを行うつもりだ」

「ひとりの人間や部門の問題ではない。ドライバー、ピットウォール、戦略、天候におけるコミュニケーションの問題であり、決断を下す我々全員の問題だ」

「私を含めた全員が、まったく基準に達していなかった。痛みは良いことももたらす。痛みがあれば、それは記憶に残るからだ」

 レース後、ハミルトンは、今回のマシンにはトップ2争いをする速さがあったと主張し、ウォルフも同意した。それだけにウォルフは、優れたレース運営ができなかったことに苛立ちを募らせていた。

2023年F1第14戦オランダGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

「マシンには(非常によい)ペースがあったので、腹立たしい。(序盤に後方に落ちた後は)そこから可能な限り挽回することを目指すことしかできなかった」とウォルフは続けた。

「インターミディエイトでの終盤では、ジョージはマックス(・フェルスタッペン)と同等のペースがあったし、ルイスは(カルロス・)サインツの後ろで素晴らしい強さを見せていた。我々はもっとずっと良いポジションを手に入れられたはずだ」

 ウォルフは落胆しながらも、その日メルセデスW14のパフォーマンスが改善していたことにも目を向けた。

「たとえ平凡な結果に終わって辛い思いをしたとしても、マシンが速く、良いペースで走れたなら、それはいいことだ」とウォルフは結論づけた。

「とはいえ、結果は非常に悪かったので、ほろ苦い気持ちだ。非常に良いリザルトを手に入れることができたかもしれない。しかしこのスポーツでは、そう考えることに意味はない」

2023年F1第14戦オランダGP トト・ウォルフ(メルセデスF1チーム代表)

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