日本代表・豪州戦後一問一答、渡邊雄太、残り2試合「40分間やりきれるかどうか」【W杯バスケ】

渡邊「残り2試合、絶対勝たなければいけない試合が続く」

8月29日、「FIBAワールドカップ2023」1次ラウンド・グループE最終戦のAKATSUKI JAPAN日本代表(FIBAランク36位)は、オーストラリア代表(同3位)戦に89-109で敗戦。グループ3位となって2次ラウンド進出を逃し、17位〜32位決定戦に進むことになった。

試合後の記者会見にはトム・ホーバスHC、渡邊雄太が出席。渡邊は相手について「前半、彼らは我々より走り、リバウンド争いやカットの数、50-50のボール争いで上回りました。それはあってはならないこと」と反省を語ると後半はやるべきことをやって追い上げたとコメント。それでも「(勝利するためには)20分では足りない。40分間、続けようにしたいと思います」と語った。一方、ホーバスHCも後半の追い上げについて「我々の努力とプレーを誇りに思っています」と語ったうえで、同様に「ドイツやオーストラリアのようなチームに勝つには、20分の頑張りでは足りません」と語った。

またチームの現状について、ホーバスHCはハードルをクリアしていって強くなっていった女子代表を例にあげて「このチームはそういった道を100%歩んでいます。ロッカールームにいる全員がお互いのために動いている。みんな同じ目標に向かっているし、時には今日のようなこともある。しかし、こうした戦いから私たちは学び、より強くなっていくんだと思います」と男子代表はそのステップを踏んでいると語った。

1次ラウンドは終わったものの、日本代表の戦いが終わったわけではない。中国*が本日21時から行われるプエルトリコ戦に勝利し、得失点差で上回って1次ラウンド・グループB2位なることがなければ、17位〜32位決定戦でのオリンピック出場権争いは続く。

=2試合終了時点で中国の得失点差-62。3位の南スーダンがセルビアに敗れ、中国がプエルトリコに26点差以上で勝利しないと2位になれない。*

その戦いに向けて、渡邊は「残り2試合、絶対勝たなければいけない試合が続くので、40分間やりきれるかどうかだと思っています」と語っている。

独、豪に勝つには「20分の頑張りでは足りません」

<英語Q&A>

Q.まずは試合の感想をお願いします。

渡邊「オーストラリアが格上なのは明らかですが、前半、彼らは我々より走り、リバウンド争いやカットの数、50-50のボール争いで上回りました。それはあってはならないこと。ハーフタイムではそれについて話をしました。後半は自分たちがやるべきことをやって、追い上げた。その努力、頑張りについては誇りを持っていますが、(勝利するためには)20分では足りない。40分間、続けようにしたいと思います」

ホーバスHC「ドイツ戦と似た感じでした。ドイツもオーストラリアも素晴らしいチームだし、強さと高さ、そしてスキルは私たちを苦しめました。少し驚いてアジャストするのに少し時間がかかってしまった。ハーフタイムまでというのは、調整期間としては長すぎます。みんなが落ち着いて対処できれば、最高のバスケができるようになるのです。いつもみんなとは40分間集中することについて話しています。ドイツやオーストラリアのようなチームに勝つには、20分の頑張りでは足りません。

もちろん、ポジティブな点もあります。特にジョシュ(ホーキンソン)は彼らしいプレーをしていたし、富樫(勇樹)が本来の調子を取り戻したのは嬉しかったです。最初の2試合は少し苦戦していたので、彼がカムバックしてきたのは大きなプラスとなります。富永(啓生)ら若い選手たちは3Pシュートこそヒットしなかったけど、ドライブでもチャンスを作ることができました。川真田(紘也)はフィンランド戦ほどセンセーションではなかったですが、若い選手には多少のアップダウンはつきものですし、彼らは素晴らしい相手との対戦という素晴らしい経験を積んでいる。後半の我々の努力とプレーを誇りに思っています。

オーストラリアに対して89得点を取れたオフェンスは悪くありません。3Pシュートの成功率が約3割だったのでほかで得点できているということです。しかし、109点も奪われてしまっては厳しいです。203cmもあるPGに対してミスをしたら、うちのセンターはヘルプに行かなければいけない。だからリバウンドも奪われてしまった。相手はすごくタフなチームです。難しいマッチアップもあったけど、3Q、4Qのプレーは良かったと思います」

Q.日本バスケの新たなスタンダード(基準)を作ろうとしているとおっしゃっていました。今大会を通じてどう成長していると思いますか?

渡邊「私たちのスタンダードはより高いレベルにあると思っています。世界3位のオーストラリアも倒したい。そのためには、基準を高く設定し、毎日ハードワークしなければ、すべてをやり遂げられません。今夜はタフな試合でしたが、コーチが言ったように89得点というのは悪くはないと思います。それでも109点の失点は多すぎます。細かい部分をすべて修正しなければなりません。先程も言ったように、特に後半はよく頑張ったと思っています」

Q.過去に女子代表でやったように、このチームが信念を貫くことについて話していました。その遂行度はいかがですか?

ホーバスHC「何年もの間、日本のさまざまなインタビューで、私はこのことについてよく話してきました。口先だけのものではなく、本当に深く信じなければならないものです。本当に心の底から信じなければならないもの。女子代表にはそれがあったけど、簡単なことではありません。日本語では『口だけじゃん』と言いますが、このチームは口だけではありません。どのチームにも自信を得るための通るべきハードルがあります。今日の後半やドイツ戦後半のように、部分的な勝利もありますし、フィンランドには実際に勝利しました。これまで私たちができなかったことです。とにかくできることは粉骨砕身、努力を続けることだけ。いつか、このようなトップチームの一つに勝って自信を深めていきたい。女子チームも同様の道筋を経てフランスやベルギーのようなチームに勝つようになりました。

このチームはそういった道を100%歩んでいます。ロッカールームにいる全員がお互いのために動いている。みんな同じ目標に向かっているし、時には今日のようなこともある。しかし、こうした戦いから私たちは学び、より強くなっていくんだと思います」

ホーバスHC「本当にこのチームに自信があります」

<日本語Q&A>

Q.今日の後半は、ドイツ戦の後半より内容が良かったと思います。すごく誇らしいプレーでしたが、これをどう未来に繋げられますか?

ホーバスHC「本当にこのチームに自信があります。全員がこの試合も勝つと思っていた。ドイツ戦はディフェンスが目立って得点できていなかったですが、今日の後半は54点奪っていました。オフェンスではみんなが常にアタックしていました。だから自信があります。それでも相手も強いから、少しずつステップ・バイ・ステップです。今日は悔しかった。けど(大会)終わっていません。このチームは長く一緒にプレーしたいチームです」

Q.渡邊選手は、昨年のアジアカップにも参加されてプレーしていませんが、オーストラリア戦(85-99)も見ていました。同様に健闘した試合でした。世界でもオーストラリアに89点を奪えるチームは少ないと思いますが、この1年間の進化をどう評価していますか?

渡邊「日本にも言えますが、昨年のオーストラリアはベストメンバーでもなかったです。今回、勝ちに来ているメンバー相手に対して、後半あれだけやれたのは、間違いなく自分たちの自信に繋がったと思います。ただ、こういうチームを本気で倒したいとなった時に、20分では絶対に足りない。コーチも言っていましたが、40分、後半のようなバスケットやりきらないと勝つためには足らないんです。40分間やりきるだけの力、体力を付けていかなければいけないと思います。後半、自分たちのペースに対して相手も疲れを見せていました。それは本当に自分たちが今までやってきたことの証明だと思います。自分たちも疲れていましたけど。残り2試合、絶対勝たなければいけない試合が続くので、40分間やりきれるかどうかだと思っています」

Q.ホーバスHCは常々「信じる」という言葉を使っていますが、選手にとってどんな力になっているか、後押しになっているのか、教えてください。

渡邊「まず自分たちが信じられてないと、いくらコーチが口で言っても本気で信じることはできませんし、結果には絶対繋がってこないと思っています。12人全員がこういうチーム相手に勝てると信じていけなければいけない中で、常に自ら口に出して言ってくれることで、自分たちも再確認できています。今日のオーストラリアに関しても、試合前、絶対勝てるって12人が信じていたと思います。ただ、力の差とかが前半出てしまった部分もあったんですけど、自分たちもやれるっていうのをまた証明できたと思いますし、今日の負けで落ち込んでいる暇もないです。先程も言いましたが、次の試合、2試合とも勝てば、大きくパリ(オリンピック)に近づくと思うので本当に1試合も取りこぼしができません。この戦い方を40分間できるというのを本当に全員が信じられるかどうかだと思っています」

Q.本日、厳しい時間でペイントアタックを仕掛けていましたが、どういう気持でプレーしていたのかを教えていただけますか?

渡邊「自分も体力的に結構厳しい部分もあったんですけど、特に前の試合でみんなに助けてもらった分もあったので、今日みたいなゲーム展開の時は自分がとにかく引っ張らなければいけないと思っていました。ジョシュもすごくペイントで体張って頑張ってくれましたし、続けて僕もやらなければいけないという気持ちで、ドライブすればしっかりファウルもらって、ジョシュが7本、僕が9本フリースローを打てています。外からというウチのバスケットもやらなければいけないんですけど、ペイントアタックできるチャンスがあれば行ってフリースローだったり、簡単に2点取っていかなければいけないと思っています。今日は3Pシュートをもうちょっと高確率で決めたかったというのもありますが、ああいう風にペイントアタックすれば、周りのシュートも生きてくると思います。今日はちょっと意識してペイントアタックをしていました」

Q.この2試合、ホーキンソン選手の存在は大きかったと思います。フィンランド戦で38分出場、今日は36分プレー、インサイドで体を張ってという彼の存在はどれだけ重要でしょうか?

ホーバスHC「彼が出ている時の+/-は0でした。彼はインサイドのリバウンドもあるし、スコアリングもできる。うちのオフェンスに必要です。外ばかり、速さばかりではなくて、あのぐらいのインサイドプレイ、スクリーンもあるとすごく大きいです。本当に38分、37分は長いし残念ですけど、今は得失点差が気になっています。ドイツ戦も今日もハーフタイムで22点差でしたが、これが40点差になると大変です。だから、残念ですけど、そこを考えてのことです。雄太(36分53秒出場)も今日結構出たのも同じことです」

渡邊「本当に、とにかくゴール下で体張ってくれて、リバウンドも本当全部もぎ取ってくれて、 ジョシュには本当にみんなが感謝しています。これだけの長い時間出て、あの強度でやっているのは本当に大変なんですけど、一切弱音を吐かないし、チームのために体張ってくれているので、自分たちももっともっとできることがあると思いますし、お互いにしっかり助け合ってやっていかなければいけないと思います。次の試合も僕やジョシュのプレイタイムは長くなる可能性もあります。でも僕ら2人とも40分出る気持ちでやっているので、途中交代して少しの休憩はあったりはしますけど、もうここまで来た以上、勝たなければいけない試合で1分1秒も無駄にできない中で、共にとにかく体張って走り続けてやろうと思っているので、明日またしっかり休んで次の試合に100%出せるように頑張っていきたいと思います」

Q.1次リーグ3試合、後半では素晴らしい試合を見せています。一方で前半は苦戦しています。どうすることで改善し、世界との差を埋められると思いますか?

ホーバスHC「今日のスタメンは富樫が河村に、原(修太)が富永に変わりました。富樫、原はその前2試合でディフェンスが良かったけど、得点はあまり稼げていなかったです。フィンランド戦の後半、河村と富永の活躍はすごく大きかったので、今日2人がスタメンになったら得点も行けるかなと思ったんですけどうまく行きませんでした。その理由はオーストラリアのディフェンです。それで富永にターンオーバーが続いて、河村も迷っていました。それが今日の試合です。フィンランド戦は少し違う理由だったし、ドイツ戦も違った。こういう大会ではアジャストメントが必要なので少しずつ良くなるかなと思います」

渡邊「体力がある時間帯は、正直なところ力の差が多少なり出てしまう部分があると思います。前半は、僕らがどれだけ食らいついていけるかがすごく鍵になってくると思います。今日の試合もドイツ戦ももし前半を10点差くらいで終えていたら、後半、自分たちの方が練習はどこよりもめちゃくちゃやっている分、体力の部分で勝って先手を取っていけると思います。そこで4Q開始時に1桁の点差だったら、強い相手も体力的も精神的にも余裕なくなるし、ウチに流れが来る時間帯があると思います。ただ、20点とか空いていると、相手に余裕も生まれてしまいます。前半リードで終われれば理想ですけど、やっぱりその力の差とか多少出てくる分、10点差以内で終わることができたら、 オーストラリアにでもドイツにでも勝てるチャンスは十分あったんじゃないかなと風に思います。これから自分たちがどれだけ強くなれるかだと思います」


■FIBAワールドカップ2023日本代表試合結果予定

ファーストラウンド・グループE

・8月25日(金)日本☓63-81◯ドイツ[11位](21:10ティップオフ)

・8月27日(日)日本◯98-88☓フィンランド[24位](21:10ティップオフ)

・8月29日(火)日本☓89-109◯オーストラリア[3位](20:10ティップオフ)

[17‐32 位順位決定リーグ]

・8月31日(木)日本vs.グループF 4位

・9月2日 (土)日本vs.グループF 3位

※最終戦前の順位でF3位はカーボベルデ[64位]、F4位はベネズエラ[17位]

※順位はFIBAランク

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