ガソリン価格が値上がりすれば軽油の価格も高騰します。このため軽油を燃料に走るローカル鉄道は厳しい経営を強いられています。
福山市の神辺駅と岡山の総社駅を結ぶ「井原鉄道」です。岡山県を軸に広島県や周辺企業などが出資して運営する鉄道で、1日およそ2500人が通勤・通学などに利用しています。この井原鉄道に、原油高が大きな打撃を与えています。
井原鉄道の車両はすべてディーゼル車で、軽油を燃料としています。年間で使用する量はおよそ50万リットル。公共交通機関のため一部税金が免除されていますが、少しでも安く調達しようと毎月仕入れ先を変えるなど努力しています。しかし、今月は1リットルあたり84円と4月と比較して8円値上がりしたといいます。
■井原鉄道 槙尾俊之 社長
「節約はしているが、車両を動かすための軽油だけは削りようがないので経営を直撃している。来月の入札も済ませているが、来月は90円台に入ってしまって、下手すると(今後)100円台 になるのではないか」
信号や車両を整備するための電気代も高騰が続いています。さらに、昨年度6000万円余りあった新型コロナに伴う補助金は今年度からなくなりました。井原鉄道は駅の命名権を販売するなど増収対策に取り組んでいますが、このままでは赤字になるといいます。
■井原鉄道 槙尾俊之 社長
「列車を止めるというわけにはいかないし、何とか政府の力でこの高騰を食い止めてもらえればというのが正直な気持ち」
企業努力だけでは厳しい状況の中、市民の足である鉄道を維持するために一刻も早い政府の対応が求められています。
【2023年8月30日放送】