鳥人間コンテスト 広島工業大学6年ぶりの出場への挑戦に迫る

手作りの飛行機に乗り込み、飛んだ距離を競うのが「鳥人間コンテスト」です。今回は広島から広島工業大学が6年ぶりに出場。大会までの奮闘の日々に密着しました。

広島工業大学の「人力飛行機部」。鳥人間コンテストへ向け制作した手作りの飛行機です。

機体の設計から制作まで全てを学生が手がけます。約20人の部員は、主に流体力学や機械工学などを学ぶ学生です。ことし6年ぶりに「鳥人間コンテスト」の出場権を獲得しました。

選考は設計図の審査です。高さ約10mのスタート台から飛ぶため何よりも安全性が重視されます。広島工業大学は今回が2回目の出場です。

初出場は6年前。結果は、わずか22.08mでした。

それ以降、5年連続で落選が続いた中、ようやく今年、出場の切符をつかみ取りました。チームを率いるキャプテンは、門前風輝さんです。

■広島工業大学 大学院 門前風輝さん

「最初受かったという時も実感が湧かず、どうしたらいいのかというのもあったが、だんだん力を入れて(機体の)かたちが見えてきて、前回の記録を絶対に超えるようなフライトをしたい」

「鳥人間コンテスト」に出場できるのは、全国で30チームのみ。

部門は2つあり、広島工業大学は助走と風のみで距離を競う、「滑空機部門」に出場します。

7月中旬。この日は、機体を組み立ててみる作業です。

■学生

「これでいける。だめだ。これでどうかな。いけるはず」

材料の調達から加工まで。制作を始めて約3か月。部員は、ほぼ毎日準備にあたってきました。しかし、時には翼が折れるアクシデントも…。

■広島工業大学 宇都宮浩司准教授

「接着剤で付ける。今のうちに治さないと。こんなの想定の範囲内で琵琶湖でもある」

6年前、初出場した際も指導した顧問からもゲキが飛びます。

大会まで3週間を切りましたが、準備のペースは予定よりも2週間ほど遅れていました。原因は「技術の継承」ができていなかったことです。

■広島工業大学 大学院 門前風輝さん

「コロナ禍で1、2年ほど活動が 十分に出来ていない時期があったが技術の継承がどこのチームも課題になっていて僕が一番上だが、そこで技術は絶やさないように 頑張っている」

試行錯誤して完成した、その名も「雙鶴2023」。

翼の長さは約25メートルでカーボンファイバーや発泡スチロールなどを使いました。そして、何よりも部員の思いが詰まっています。

その機体を操縦するのは、3年生の榎一馬さんです。パイロットに抜擢された理由は、体重が軽いこと。泳げること。高所恐怖症ではないこと。そして本番に向けて最も大事なことは…。

■広島工業大学3年生 榎一馬さん

「一番は体調管理。セカンドパイロットはいないので、自分がいなくなったらやる人がいないので。あとは機体を何が何でも完成させる」

大会まで2週間あまり…。

この日は、本番さながらの練習です。当日は飛行機を組み立てることから始まります。

組み立ての制限時間は4時間。1秒でもオーバーすると失格になります。

練習では、約40分で完了しました。

そして初めて、実際に機体を飛ばします。助走をつけるため走り続けること30分…。

■学生たち

「わーー」

しかし、喜びもつかの間…。

何度も助走をつける練習を繰り返したため、機体と台車を結んでいた”ひも”が外れてしまいました。修理を終え、すぐに練習を再開。あっという間に日が暮れていました。

■広島工業大学 大学院 門前風輝さん

「感動した。本当に飛ぶんだと思って。細かな作業だったりいっぱいやることがあったが、 こういうときのためにあったと思う」

■広島工業大学3年生 榎一馬さん

「みんなもここまで毎日頑張ってきてくれて いるのでそれにこたえられるように自分も精一杯努力して飛びたいと思う」

そして、迎えた6年ぶりの鳥人間コンテスト…。

部員たちの思いが詰まった飛行機はどんなフライトを見せたのでしょうか。

(2023年8月30日放送)

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