誤嚥(ごえん)性肺炎で入院していた茨城県南地区の70代男性が医療ミスで死亡したとして、男性の遺族が、土浦協同病院を運営するJA茨城県厚生連を相手に約3670万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたことが30日、分かった。遺族側は「一次救命措置を怠り、患者を死亡させた重大な医療過誤」と訴えている。提訴は28日付。
訴状によると、男性は2018年2月、誤嚥性肺炎のため同病院に入院。翌3月に体調が急変して死亡した。死後画像の診断では「死因の特定は難しいが、誤嚥を疑う所見がある」とされた。遺族側は、窒息を発見した時点で、担当医師や看護師が直ちに吸引や心肺蘇生をすれば命を救えた可能性が高いとして、病院側の注意義務違反を主張。
中でも、患者の尊厳を守るため心停止時に心肺蘇生しない措置(DNAR)について病院側の誤認を指摘。救命措置を怠ったのは重過失に当たるとしている。
代理人の梶浦明裕弁護士は、「DNARを巡る訴訟は過去にない。全国的にDNARを正しく理解し、同じような医療過誤が起きないようにしてほしい」と語った。
原告は男性の妻子3人。「病院には誠意ある対応を求めたい。裁判所には病院の非を認めてほしい」とのコメントを発表した。
JA県厚生連は「訴状を確認していないのでコメントできない」としている。