下校中、目が合った高齢女性に違和感 脚に網絡み、7時間も動けていなかった 中学生らが救助 宍粟

のじぎく賞を受けた(左から)阿曽文彦さん、かず江さん、藤原彪伍さん、牧子さん=龍野土木事務所宍粟事業所

 脚に畑の網が絡み、約7時間も身動きできなくなった高齢女性を救ったとして、西播磨県民局は、兵庫県宍粟市山崎町庄能の龍野土木事務所宍粟事業所で、中学生から70代までの男女4人に県の善行賞「のじぎく賞」を贈った。

 受賞したのは、山崎東中学校2年の藤原彪伍(ひゅうご)さん(13)、母の牧子さん(41)、阿曽文彦さん(75)、妻のかず江さん(73)。

 同県民局によると、6月20日午前10時ごろ、同町五十波(いかば)の道路沿いにある畑で、近くの70代女性がシカの侵入防止用ネットに引っかかったかばんを取ろうとして体勢を崩し、道路から外れた里道に滑り落ちて左脚が網に絡まった。女性は2カ月前に脚を骨折したことなどから、自力ではい上がれなかった。

 同日午後5時半ごろ、下校中の彪伍さんは女性と目が合ったが、助けは求められなかったため通り過ぎた。だが違和感を覚え、帰宅後に母の牧子さんに相談。牧子さんが現場に行くと状況が分かり、女性も助けを求めたという。

 1人で助けるのは難しいため、牧子さんは彪伍さんを呼ぶとともに、近くの阿曽さん夫妻に助けを求めた。はさみでネットを切り、協力して女性を道路まで運んだ。女性の足はうっ血しており、日焼けで真っ赤な顔だったが、意識はあり会話もできた。近くの家で車いすを借り、女性宅まで運んだという。

 彪伍さんは登校中、女性とあいさつする機会があったといい、「普段、関わりがあったから違和感に気づけた。助かって本当に良かった」と話した。(村上晃宏)

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