登校中の熱中症対策として、兵庫県たつの市教育委員会は7月、市内全小学校児童にランドセル装着用の冷却パッドを配布した。小学生からの匿名の手紙で行政が動いた経緯は、新聞報道に続くテレビの全国放送でも話題になったが、「帰りが冷たくない」との欠点も明らかに。市教委は急きょ全16校に冷凍庫を配備し、9月1日からの2学期スタートに間に合わせた。(直江 純)
パッドは、市内に本社があるランドセル大手「セイバン」が開発。168グラムと軽量だが、朝よりも暑くなる午後3時前後の下校時までは保冷効果が保てない。7月の配布時点から、市教委も課題は把握していた。
今春から、給食が全校センター配送式に切り替わったばかり。「不要になったものを使えないか」と検討し、半田小と河内小では給食用を使うことに。残る14校では家庭用機種計72台を購入することにした。このための費用として、約200万円をかけたという。
各学年1クラスの揖保小学校(同市揖保町西構)には家庭用3台が届き、空き教室などに置かれた。校区が南北に広く、片道30分以上歩く子もおり、帰りに冷たくないパッドを持って帰るのが大変なため、他校よりパッドの使用率が低いとみられる。
6年生担任の内海佑樹教諭(38)は夏休み終盤にタブレット端末を通じて「冷凍庫が置かれる」と知らせると「それなら使う」との回答が相次いだ。内海教諭は「こうした子どもたちの反応も(市教委に)届けたい」と話した。
保冷剤に油性ペンで名前を書いてクラス単位で冷やし、帰りに受け取る形を想定。揖保小で冷凍庫の実物をチェックした市教委教育環境整備課の担当者は、「今年は特に残暑が厳しい。何とか2学期に間に合って良かった」と述べた。
冷却パッドは来年度の新1年生には入学祝い品のキットに同封し、今後も全児童への配布を続けるという。