結成47年「目標あと一息」…タケカワさん“失敗”語りエール さいたまでいじめ防止シンポ、900人が一堂に

いじめ防止シンポで講演するタケカワユキヒデさん

 学校のいじめを防ごうと、埼玉県さいたま市と市教育委員会の主催する「いじめ防止シンポジウム」が24日、さいたま市大宮区で開かれた。市立小中高校、特別支援学校の児童生徒代表や教職員、保護者、地域団体、関係する行政機関の計約900人が出席して意見交換した。今回が10回目の開催で、子どもたちが「心を元気にする四つの言葉」を発表した。

 清水勇人市長は「いじめはひきょうな行為で決して許されない。学校、家庭、地域、行政が一体となり、いじめを撲滅するため、何ができるかを考えるきっかけになればと考えている」とあいさつした。

 「さいたま市子ども会議」が今月4日に開かれ、市立学校代表の児童生徒が出席。いじめられてつらい思いをしている人や、悩んでいる自分に向けて、前向きになったり、心が回復するきっかけになる言葉について協議した。

 決定した言葉は、「大丈夫(大丈夫?)」「また明日」「自分を信じて」「ちょっとずつでいいよ」。同会議の議長団は言葉の内容を説明し、「学校生活で大切な言葉になると考えています。互いを思いやり、温かな雰囲気をつくり出し、いじめのない学校をつくっていきたい」と述べた。

 児童生徒、竹居秀子教育長、市教育委員のタケカワユキヒデさんらによるパネルディスカッションも行われた。参加した大宮国際中等教育学校5年の神龍之介さん(17)は「いじめをする人は不満があると思う。先生も生徒も満足でき、楽しいイベントを開いて、いじめの解決につなげていきたい」と取材に答えた。

 原山中3年の道上陽菜さん(14)は「いじめ防止の活動は、一人一人の意見を尊重してもらえると思ってもらうことが大事。みんなの意見を尊重していきたい」。美園南中3年の小島愛結さん(14)は「四つの言葉を悩んでいる友達や、苦しい局面に立ったときの自分に言えるようになりたい」と話していた。

■「目標決め諦めない」 教育委員タケカワさん講演

 音楽家のタケカワユキヒデさんが、いじめ防止シンポジウムの中で、「レジリエンス~失敗しても諦めず、続ける力~」をテーマに講演した。タケカワさんは中学校の卒業式に、バンドで演奏したエピソードを披露。事前に先生たちの前で、演奏する機会があり、「先生たちが腕を組んでいて恐ろしかったが、1曲弾いたら、拍手をしてくれた」と思い出を語った。

 小さな頃からバイオリンや作曲に取り組んでいたタケカワさんは、小学校高学年でビートルズに夢中になった。中学生でバンドを組み、「世界的なアーティストになること」を目標に掲げた。

 作曲家を目指して大学受験に失敗したり、大学時代にソロデビューして全く売れない経験をした。失敗を繰り返しても、目標を決して諦めなかったという。1976年にゴダイゴを結成。「ビューティフル・ネーム」「銀河鉄道999」などのヒット曲を生み出し、ネパールで6万人のコンサートを開くなどした。

 ゴダイゴ結成から47年目。タケカワさんは「世界的なアーティストになるという目標はあと一息」として、「人生は全く分かりません。うまくいかないことがあったり、失敗しても、目標を決めて諦めず、人生を有意義に過ごしてほしい」と語りかけた。

いじめ防止シンポジウムで、心を元気にする四つの言葉が発表された=24日、埼玉県さいたま市大宮区のレイボックホール

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