エンゼルス解体で注目の「ウエーバー」 ルールを改めて確認しよう

日本時間8月30日、エンゼルスがルーカス・ジオリトら6選手をウエーバーに登録したことが報じられ、大きな話題となった。エンゼルスの6選手以外にもハリソン・ベイダー(ヤンキース)、カルロス・カラスコ(メッツ)、マイク・クレビンジャー(ホワイトソックス)、ホセ・シスネロ(タイガース)がウエーバー登録されたことが報じられている。ウエーバーはどのように機能するのか。ルールは複雑だが、ここでは改めてウエーバーのルールを確認しておこう。

◆アウトライト・ウエーバーの仕組み
今回、各選手が登録されたのは「アウトライト・ウエーバー」と呼ばれるものである。ある選手がウエーバーに登録されると、他の29球団はその選手を獲得可能となる。ただし、獲得する場合はその選手の残りの契約を引き継ぐ必要があり、ロースターの40人枠に登録する必要もある。

◆複数の球団が獲得を希望した場合の優先順位は?
1人の選手に対して複数の球団が獲得を希望した場合、勝率の低いほうの球団が優先される。もし勝率が同じだった場合は、前年の勝率が低い球団が優先される。

◆1球団がすべての選手の獲得を希望することは可能?
可能である。たとえば、現在メジャー最低勝率のアスレチックスは、獲得の申し出さえ行えば、ウエーバー登録されている全選手を優先的に獲得できる。ただし、先述の通り、ウエーバーで選手を獲得する場合は、残りの契約を引き継ぐ必要があり、ロースターの枠も準備しなければならない。

◆獲得を希望する球団がなかった場合は?
もとの所属球団に残留する。ウエーバー登録とDFAは異なるものであり、ウエーバー登録されたからといって、ただちにロースターの40人枠から抹消されるわけではない。通常、アウトライト・ウエーバーを通過した選手はマイナー降格となる可能性もあるが、今回ウエーバー登録されたことが報じられている10選手は全員サービスタイムが5年を超えており、アウトライトによるマイナー降格を拒否する権利を有している。

◆2018年までの旧ルールとの違いは?
2018年まではレボカブル・トレード・ウエーバーという「取り消し可能なウエーバー」が存在しており、7月末のトレード期限後にもウエーバーを介したトレードを行うことができた。「取り消し可能なウエーバー」を利用して選手の市場価値を探ることも可能だったが、2019年からはトレード期限後のウエーバーを介したトレードが禁止され、この「取り消し可能なウエーバー」も廃止されている。現在、10選手が登録されたことが報じられているアウトライト・ウエーバーは取り消し不可であり、獲得を希望する球団が現れた場合、もとの所属球団はウエーバー登録をキャンセルすることはできない。

◆ウエーバーで移籍した選手はプレーオフに出場できる?
出場できる。米国東部時間8月31日23時59分までに40人ロースター、もしくは60日間の故障者リストに登録されている選手にはプレーオフ出場資格がある。また、それ以外の選手でも8月31日までに球団に在籍していれば、故障者の代役としてプレーオフ出場資格を得られる(よって、ジャイアンツ傘下の筒香嘉智にもプレーオフ出場のチャンスは残されている)。

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