納豆菌、免疫増強の可能性 茨城県と帝人 感染予防に期待

納豆菌BN株の免疫増強機能について説明する県産業技術イノベーションセンターの飛田啓輔主任研究員=県庁

茨城県産業技術イノベーションセンターと帝人のグループ会社「帝人目黒研究所」(大阪市)の研究グループは30日、納豆菌の一種「BN株」がヒトの免疫を体内で増強する可能性があると発表した。ウイルス感染予防や感染軽減への効果が期待される。今後、ヒトへの投与試験などを通し、納豆菌と免疫増強の因果関係を詳しく明らかにしていく、としている。

BN株は、納豆菌や乳酸菌を製造、販売する同研究所が保有する独自の納豆菌で、医薬品(整腸剤)の原料として使われている。

試験管の中で、ウイルスに感染していない免疫細胞とウイルス感染状態の免疫細胞に、それぞれBN株を加えた結果、ウイルス増殖を抑制する免疫増強に関わるタンパク質が両細胞で増えたことが分かった。BN株が新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスが含まれる種類の「一本鎖(いっぽんさ)RNAウイルス」の感染症を予防、軽減する可能性があることを、細胞レベルで明らかにできたという。研究結果は、25日の日本農芸化学会関東支部2023年度大会で発表された。

同センターの飛田啓輔主任研究員は「今後は免疫増強のメカニズムを細胞レベルで解明する。将来的には畜産の現場でウイルス感染症を予防できるような飼料添加物や、ヒトを対象にした臨床試験を実施して、(口から摂取する)サプリメントや機能性食品に展開したい」と話した。

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