コンビニの「水際対策」強化 長崎県警 ニセ電話詐欺の巧妙化に対抗 若年層への拡大警戒も

ニセ電話詐欺被害に遭っているとみられる客役の警察官に声をかける髙比良店長(右)=県警本部

 長崎県内でニセ電話詐欺の被害が絶えない。県警によると、依然として架空料金請求が増え続ける一方、若年層や携帯電話の利用者にも被害が及ぶ。巧妙化する手口に対抗しようと、県警はコンビニでの“水際対策”に力を注いでいる。
 「皆さんの声かけが詐欺被害を防ぐ最後の機会になります」-。今月21日、県警本部であった長崎市内3署と時津署管内のコンビニ店員を対象とした研修会。セブン-イレブンとファミリーマートの従業員ら約40人を前に、県警担当者が詐欺の手口や被害者の特徴、客への声かけの仕方などを説明した。
 長崎署によると、今年7月末現在の被害認知件数は県全体で78件(前年同期比16件増)。被害総額は1億2702万5898円(同2242万7850円減)。このうちコンビニなどで電子マネーカードを購入させる手口が過半数を占める一方、コンビニ店員によるニセ電話詐欺の阻止件数は50件(同20件増)で、金融機関なども含めると134件(同51件増)に上る。
 今年上半期の被害まとめによると、被害者の年齢層は65歳以上の高齢者が43件と最多だが、20~30代も5件と少ないものの、県警は若年層への拡大を警戒。さらに、これまで固定電話での被害が多かったが、携帯電話やメールでの被害も19件(同2件増)。全体の約28%を占め、携帯電話も安心できない状況だ。
 研修会に参加したセブン-イレブン長崎宝栄町店の髙比良和久店長(64)は「客に電子マネーを購入する経緯を聞いて、自分は詐欺だと気付いても、客はそう思っていない。どのように説得し警察への相談につなげるかが難しい」と話した。
 このほか、研修会では6月に松浦市で発生したコンビニ強盗殺人未遂事件を受け、犯人への対応や警察への通報手順を確認する訓練もあった。詐欺を未然に防ぐ“最後のとりで”となっているコンビニ。地域の安心、安全の拠点として存在感はさらに増している。

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