むつ湾フェリー(青森県)新船に屋外デッキ 船内テーブル席も 2026年就航目指す

 青森県は30日、外ケ浜町蟹田-むつ市脇野沢間を運航する県の第三セクター「むつ湾フェリー」の新船の概要を示した。船内でのイベントに対応できるテーブル席を配置するほか、陸奥湾の風景を楽しむ屋外デッキを新設。災害時の緊急物資輸送や冬季運休期間中の船体貸し出しを想定し、異なる高さの岸壁に接岸可能な設備を設ける。

 同日、青森市で開いた県、関係市町村などの担当者会議で説明した。

 船内中央部にテーブル席を配置し、下北半島の「下北ジオパーク」をテーマとした環境講座などのイベントを開くスペースを確保。屋外デッキでは仏ケ浦などの風景や陸奥湾内を泳ぐイルカの群れを観察する。

 新船は蟹田-脇野沢間の通常運航だけでなく、災害時の緊急物資輸送や住民の広域避難手段としての活用や、毎年11月上旬から4月下旬の冬季運休期間中に他航路へ船体を貸し出すことを想定。▽車両などが乗降するランプドアは岸壁の高さに合わせる仕組みを導入▽狭い港湾を旋回する装置を設置-など陸奥湾内外の複数の港に接岸できる仕様とする。

 県によると、津軽半島や下北半島などの港について、停泊地の広さや水深などを調査したところ、利用可能なのは青森港や大間港、三厩漁港、白糠漁港など11港。今後、着岸試験などを行う。

 現行のカーフェリー「かもしか」(611トン)に対し、新船の総トン数は約400トンだが、計算方式が異なるため同程度の大きさ。搭載可能な車両数は大型4台、乗用車3台、軽自動車4台程度で、かもしか(大型4台、乗用車4台)より多い。定員は同程度の約240人。

 県と関係市町村、むつ湾フェリーは昨年度、新船の建造で合意。今後、概要や総事業費、建造スケジュールなどを含む基本構想を策定し、2024年8月の工事契約締結、26年4月の新船就航を目指す。

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