使用済み核燃料中間貯蔵施設(青森・むつ市)、2024年度上期までに操業 事業者が報告

RFSの高橋社長(右)から報告を受ける宮下知事=30日、県庁

 青森県むつ市に立地する使用済み核燃料中間貯蔵施設の事業開始時期を巡り、事業者のリサイクル燃料貯蔵(RFS)は30日、県と市に対し、「2023年度下期~24年度上期を念頭に準備を進める」と報告した。「23年度」とする現行の暫定計画から「後退」(山本知也市長)した形。

 RFSによると、「23年度下期~24年度上期」に安全対策追加工事、地元と安全協定締結、使用済み核燃料を入れたキャスク(貯蔵容器)1基を用いた最終検査などの工程を進める。追加工事に時間を要しているが、23年度内には終えるという。

 ただ、最終検査に使う核燃料を搬入できる見通しは立っていない。RFSは核燃料の搬出元となる東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)から運び込む予定だが、同原発はテロ対策の不備などを理由に、原子力規制委員会が核燃料の移動禁止命令を課したまま。高橋泰成社長は、移動禁止命令が解ければ「事業開始に向けた環境が整う」と説明。しかし「解除は見通せない」とし、新たに組んだ工程は解除時期を考慮していないとした。県、市には「搬入までに安全協定を結ぶ必要がある」として協力を要請した。

 報告を受け、山本市長は「決意と覚悟の言葉をもらった一方、事業開始時期の見極めなどが(禁止命令によって)想定の域を超えないことは非常に残念」と述べ、宮下宗一郎知事は「多大な理解と協力をしてきたむつ市の意向を最大限に尊重してほしい」と応じた。

 RFSは規制委から保安規定の認可を得た段階で「開始時期を見極める」と約束。認可を28日に得たことで、地元に新たな工程を示す段階に移っていた。

 中間貯蔵施設は、RFSに出資した東電と日本原子力発電の使用済み核燃料計5千トンを最長50年、乾式貯蔵で一時保管する計画。

© 株式会社東奥日報社