2021年8月、八戸沖で座礁したパナマ船籍の貨物船「クリムゾン ポラリス」の事故海域に残る船尾部分の撤去作業を担う日本サルヴェージ(東京)が、撤去完了時期を来年1月末と見込んでいることが30日、関係者への取材で分かった。31日に八戸市内で関係機関を招いて作業説明会を開き、詳細を説明する。
現在、残されているのは船尾部分を三つに切り分けた貨物艙(そう)、居住スペースと、油が残っているとみられる機関室(約1700トン)。このうち3月中旬から撤去に着手していた貨物艙は9月にも作業を完了する見込み。
最大の難所となる機関室については、つり上げて大型台船に載せる時期が越年するもようだ。大型台船が現在従事している現場作業の遅れに伴い、八戸港到着が当初計画の「10月」から遅れることが不可避となっているため。
当初は大型クレーン船で機関室をつり上げる計画だったが、気象条件が整わず断念。日本サルヴェージは昨年12月、「チェーンプラー」と呼ばれる装置でつり上げる工法に変更し、撤去完了時期を「23年1月」から「同年12月末」に延期すると漁業関係者に伝えていた。
同社は30日、漁業関係者などに非公開で概要を伝えた。船主側代理人の赤塚寛弁護士は「31日に対応する」と述べるにとどめた。
◇
八戸沖の貨物船座礁事故 2021年8月11日午前7時31分ごろ、八戸港の沖合を航行していたパナマ船籍の貨物船「クリムゾン ポラリス」(総トン数3万9910トン)が、いかりを下ろしたまま流され浅瀬に乗り上げた。翌朝船体が二つに割れ、燃料の重油の流出が始まった。船首側は9月13日に撤去。船尾部側の撤去に向け、22年5~6月、10~12月に大型クレーン船がそれぞれ八戸港に入港したが実施できないまま同港を離れた。