開幕時は年俸総額3億3300万ドルのスター軍団を結成したものの、プレーオフ争いから脱落。トレードデッドラインでは、マックス・シャーザーとジャスティン・バーランダーをはじめとする多くの主力を放出し、白旗を挙げることとなったニューヨーク・メッツ。
開幕時にはスターが名を連ねたラインナップには、今やメジャーとマイナーを行き来するような選手が居座るようになり、物寂しさは否めないシーズン終盤となっている。
しかし、後半戦以降にチャンスを与えられた選手から、思わぬブレイクが飛び出している。
それがわずか36試合で9本塁打、OPS1.015を記録しているDJ スチュワートだ。
日本時間31日のレンジャーズ戦では、これまでの快進撃に一層箔をつけるような大活躍を見せた。まず2回にソロ本塁打、さらに5対3のビハインドで迎えた8回には同点の2ラン本塁打、同点で迎えた9回の守りではフェンスに激突しながら大飛球をナイスキャッチ、10回裏に無死満塁で回ってきたサヨナラの好機では押し出し死球をもぎ取り、チームを勝利に導く活躍を見せたのだ。
身長183センチ、体重95キロと豆タンク型の体躯でパワーを発揮し、守備でもハッスルプレーを連発するスチュワートは、辛口で知られるニューヨークのファンの心も掴み始めている。
突如として現れたようにも思われるスチュワートだが、今年メッツとマイナー契約を結ぶまではオリオールズの生え抜き選手だった。
2015年にドラフト1巡目指名でフロリダ州立大学からオリオールズに指名されてプロ入りすると、4シーズンでマイナーを卒業。2018年には現メッツ監督のバック・ショーウォルター監督のもと、オリオールズでメジャーデビューを飾った。
しかし、再建中のオリオールズでも、スチュワートはなかなかメジャーに定着できず。オリオールズの躍進と時を同じくして2022年にDFA。今年からはメッツとマイナー契約を結び、心機一転を図っていた。
しかし、もしメッツが大方の予想通りプレーオフ争いに留まっていれば、スチュワートにお鉢が回ってくることは到底無かっただろう。前半戦はメジャーで再びプレーできるか不透明な状況にあったものの、スチュワートには頑張らなければいけない理由があった。
「小さい娘がいるんだ」とスチュワート。「おむつは安くない。だから頑張り続けられるんだ」とジョークを飛ばした。
念願のメジャー定着を目指して、父親の奮闘は続く。