怪我人を抱えながらの奮闘もむなしく、エンゼルスのプレーオフへの望みはもはや風前の灯となってしまった。しかし、明るい話題が無くなってしまったわけではない。
エンゼルスにとって希望の光となっているのが、デビューから8試合連続安打を記録し、すっかり大谷翔平の前を打つリードオフに定着したノーラン・シャニュエルだ。
このシャニュエルはなんと今年のドラフトの1巡目指名でプロ入りしたばかり。ドラフトからわずか40日でデビューしたにも関わらず、メジャーの投手に適応しているその要因は何なのか。
その要因こそが、シャニュエル最大の武器である“目”だ。
シャニュエルは素晴らしい選球眼とミート力を持ち、大学では三振より多い四球を選んできた。シャニュエルの打者としては理想的な“目”が、今のメジャーでの活躍の原動力となっている。
シャニュエルがこの最大の武器を手に入れるきっかけとなったと言っても良いのが、今年のドラフトでホワイトソックスから11巡目指名されて話題を呼んだ日本人選手・西田陸浮だという。
西田とシャニュエルは昨年夏、ドラフト候補の有望大学生が多く集うケープコッド・リーグでチームメイトだった。
大学では1、2年から活躍していたシャニュエルだったが、このケープコッド・リーグでは不振に陥り、わずか打率.200と苦しんでいた。
その不振の理由が“目”だった。
2年の時から夜の試合で見にくさを感じていたシャニュエルは、ケープコッド・リーグではっきりと視力の異変に気づいたという。その後、右目の乱視が判明し、コンタクトレンズを付けるようになると、翌シーズンは三振と四球の割合が大きく改善。シャニュエルもコンタクトレンズが改善の大きな要因だと語っている。
そして、コンタクトレンズと同じくらい改善を助けたのが、西田から教わった目のトレーニングだという。
試合前に「目を動かし、起こすことが目的」のトレーニングを行うようになり、ボールの回転がよく見えるようになったそうだ。ボールの回転を読むことは打席の中で最も重要だというシャニュエルは「(西田から教わった)目のトレーニングは本当に役に立っている」と感謝している。
既にメジャーの舞台で活躍するシャニュエルとは対照的に、西田はシングルAで一般的な大学生ドラフティーと同じようにプロキャリアをスタートさせたばかり。2人のキャリアはまだ始まったばかりだが、メジャーの舞台で再会する日が訪れるだろうか。