忙しない毎日、皆さんはどのように自分の心を癒していますか?
映画を観たり、お酒を飲んだり、アウトドアをしたり、人それぞれのお気に入りがあるはず。
筆者のお気に入りは「絵本」です。
「大人なのに絵本...?」
そう首を傾げる読者の方もいるかもしれません。絵本には読書とは一味違った面白さや、大人になった今だからこそ心に語りかける魅力があるんです。
そこで今回、大人が絵本を読むメリットや、筆者が厳選したおすすめの絵本をご紹介します。
大人が絵本を読むメリット
メリット1:簡単に世界観に没頭できる
仕事や勉強に忙しいと、1日に読めるページ数は体力的にも精神的にも限られてしまいますよね。少しずつ読み進めると「前のページの内容が思い出せない...」と何度も反復してしまい、なかなか内容に没頭できないこともあります。
一方、文字数が少ない絵本はイラストも主役なので、疲れた目を凝らして文字を追ったり、内容を整理しようと神経を集中させたりする必要もなく、目から入ってくる情報をただ受け取るだけで、物語の世界に没頭できます。一冊の長さも短いので、おやすみ前の一冊にもぴったりです。
メリット2:“実力派”のイラストたち
絵本といえば、やっぱりイラストが魅力。
「子ども向け」とラベルを貼られることの多い絵本イラストですが、細部まで繊細に描かれているものも多く、大人の遊び心を刺激したり、うっとりと癒したりもする“実力派”が揃っています。
筆者は何度も読んだ絵本を、イラスト見たさでペラペラと読み返すこともあります。
メリット3:シンプルだからこそ、心に刺さる
大人になるにつれて、私たちの頭の中は複雑になっていきますよね。中には「自分の大切なものってなんだっけ?」「自分は何が好きなんだっけ?」と考えが煮詰まっている人もいるかもしれません。
そんな時に「心の基礎の基礎」に立ち返らせてくれるのが絵本です。
シンプルでピュアな物語だからこそ、その優しさや温かさが心に沁みて「ああ、そうだったじゃんか。複雑に考えすぎてたかも」と肩の力が抜けることも。
また「そんな考え方もあるんだ!確かに!」と発見があったり、無邪気なユーモアでクスッと笑わせたりしてくれるのも絵本の魅力です。
厳選!大人におすすめの絵本3選
ここからは、日常的に書店の絵本コーナーを散策している筆者が、おすすめの絵本を厳選して紹介します。
大人におすす目の絵本1:『バムとケロのもりのこや』シリーズ(島田ゆか)
しっかり者のバムと、無邪気で元気いっぱいなケロちゃんの日常を描いたシリーズ。
好奇心旺盛でつい周囲を振り回してしまうケロちゃんと、そんなケロちゃんをやれやれと助けてあげるバムのやりとりが愛おしく、優しい世界に癒されます。
そしてなにより、イラストが細やかで遊び心がいっぱい!物語の所々に小さく描かれたサブキャラの「おじぎちゃん」と「ヤメピ」探しも『バムとケロ』シリーズの魅力です。
「おじぎちゃん」と「ヤメピ」も、バムとケロが出かけるときには必ず一緒。バムがさりげなく2匹のサイズに合わせた食事も用意していることにも、心が和みます。
素朴で温かいストーリーと、遊び心たっぷりの可愛いイラスト。まさに絵本の真骨頂とも言える魅力を存分に楽しめる絵本です。
大人におすすめの絵本2:『みえるとか みえないとか』(ヨシタケシンスケ)
絵本作家としてはもちろん、大人向けのイラスト集も大人気のヨシタケシンスケさん。数ある人気作品の中でも、筆者のお気に入りは『みえるとかみえないとか』です。
伊藤亜紗さん著の『目の見えない人は世界をどう見ているのか (光文社新書)』が原案とされており、伊藤さんは『みえるとかみえないとか』にも「そうだん」というポジションで参加しています。
宇宙飛行士の主人公が様々な身体的特徴を持つ生き物が住む惑星を訪れ、自分の普通と他人の普通が違うことに気付いていくお話です。
かわいいイラストはもちろん、ハッとする言葉もたくさん。特に筆者の心がグッと掴まれたのは、この一節。
からだの とくちょうや みためは のりもののようなもので、
「その のりものが とくいなこと」は かならず あるけれど、
のりものの しゅるいを じぶんで えらぶことはできない。
そのひとの ほんとうの きもちや くろうや したいことは、
やっぱり その のりものに ずっとのってきた
そのひとにしか わからない。
「違い」から生じる人間関係のしがらみは難しく考えてしまいがちですが、大人だからこそできる丁寧で慎重な歩み方を大切する一方で、シンプルに考えることも忘れずにいたいと改めて思わせてくれた一冊です。
ヨシタケさんは大人向けの絵本も多く出版しており、どれも心に沁みるものばかり。ぜひチェックしてみてくださいね。
大人におすすめの絵本3:『誰も知らない世界のことわざ』(エラ・フランシス・サンダース著/前田まゆみ訳)
『翻訳できない世界のことば』をはじめとした作品で知られるエラ・フランシス・サンダースさん。実はことわざをテーマにした『誰も知らない世界のことわざ』という本も人気なんです。
名前の通り、世界各地のことわざが紹介されており、日本で生まれ育った著者は「え?なんじゃそりゃ!」とびっくりすることも多々。ことわざの内容を描写したイラストが描かれており、クスッと笑ったり、「なるほど」と納得したり、とにかく面白い一冊です。
ちなみに、筆者のお気に入りはトルコ語のことわざ「ブドウはお互いを見ながら熟す」で、「仲間は次第に似るようになり、周りを見ながら成長していく」という意味だそう。
国や地域ごとの文化や大切にしている価値観も垣間見えて、世界と自分を繋いでくれるような本でもあります。
大人こそ絵本を読もう!
いかがでしたか?
簡単に読めるのに、癒されたり、学びになったり、原点に立ち返ったりと、絵本から得られることは本当に多いように思います。
自分への贈り物としてはもちろん、大切な人にプレゼントしてみるのも良いかもしれません。大人になってから改めて読む「絵本」の世界、ぜひ皆さんも覗いてみてくださいね。
(ウェルなわたし/ Hiyori)