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二十四節気で暑さが峠を越える頃とされる処暑を過ぎたというのに、厳しい残暑で寝苦しい夜が続く。夏の疲れを解消するためにも質の良い睡眠をとりたいところ。快適に眠るためのポイントを日本睡眠学会専門医で福井厚生病院精神科部長の三崎究(きわむ)医師に聞くと、鍵を握るのは「深部体温を下げる」ことのようだ。9月3日は「秋の睡眠の日」。
■脳も体も休ませる
三崎医師によると、質の良い睡眠とは▽スムーズに入眠できる▽深く眠れたと実感できる▽スッキリと目覚める―など、脳も体も十分に休めている状態を指す。睡眠不足は、疲れが取れない、仕事の能率が下がるだけでなく、うつ病につながるリスクもあると指摘する。
暑いとどうして寝苦しくなるのか。三崎医師は「深部体温が下がりにくいため」と説明する。人間の体温には、体の表面の体温と、内臓など体の深い部分の深部体温の2種類ある。深部体温が下がると眠気を感じ、十分に下がると深い眠りにつける。そのため、就寝時間に合わせて深部体温をスムーズに下げられると快眠につながる。
就寝直前に入浴するのはNG。眠りにつく1時間ほど前までに入浴を済ますのが理想だ。熱帯夜は、エアコンを冷えすぎない温度で朝までつけっ放しにしておき、布団やタオルケットを体にかけておく。朝方に気温が下がるようになったら、タイマー利用や温度調整に気をつける。
■室温26~28度に
パナソニックはホームページで、ぐっすり快眠できるエアコン活用方法を紹介している。一般的に、室温26~28度が心地よく眠れる環境だといわれているとし▽寝室に入る30分前にエアコンをつけ、上に向けて風をあてておく▽冷房モードで設定温度を26~28度にするか、除湿モードにする▽寝室の湿度は60%以下に保つ―などと勧めている。
秋は朝晩の寒暖差がある日もあり、エアコンをつけっ放しにしておくべきか悩みどころ。日本気象協会の天気予報専門メディア「tenki.jp」で公開している「睡眠指数」を参考にするとよい。暑さによる眠りにくさを市区町村ごとに5ランクで示し、「寝苦しい夜」の場合は「翌朝まで冷房と除湿を」、「やや蒸し暑い」の日は「室温28℃以下で除湿も必要」といったように対処法も紹介している。
■暗めの部屋で過ごす
就寝時の明るさにも注意したい。深部体温を下げて、睡眠を促すホルモンの「メラトニン」は、体内時計の指令で夕方頃から徐々に放出される。光で抑制される性質があり、就寝の2時間ほど前から照明の明るさを落とした暗めの部屋で過ごすなど、メラトニンが分泌されやすい環境をつくることが大事だという。
「真っ暗だと逆に不安になって眠れない人もいる。常夜灯などを光源が目に入らないようにしてつけておいてもいい」と三崎医師。就寝前にスマホやゲーム機などを使用することも快眠を妨げることになる。デジタル機器の液晶画面から発するブルーライトによって、メラトニンの分泌が抑えられるためだ。
起床したら明るい光をしっかり浴びるといい。地球の自転周期は24時間だが、人間の体内時計は24時間とちょっと。光を浴びることでズレがリセットされ、睡眠リズムが安定する。
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三崎医師は「質の良い睡眠ができていない人は、日々の生活を見直してみてほしい」と呼びかけていた。