猛暑日続き小学校のプール開放2日間だけ 福井市教委「想定外」…事業の在り方検討へ

連日の猛暑の影響で開放できなかった学校プール=12月8日、福井県の福井市中藤小学校

 連日35度以上の猛暑日が続いた影響で、夏休みに福井県福井市の小学校プールが開放できたのは、7月21、22日の2日間だけだった。午前11時時点で予想最高気温が35度以上となった場合、熱中症対策として中止。児童が水に親しみ、スポーツを楽しむことを目的とした事業だが、危険な暑さで開放日が制限され、今後の事業の在り方が問われている。

 開放は7月21日~8月10日(日曜日は除く)の18日間、午後1~4時の予定だった。全50校のうち1日につき10校ほどを順番に開放し、各プールに監視員ら4人ずつを配置。開放日数は基本的に1校当たり3日間だが、大規模校は最大6日間となる。保護者の送迎などがあれば校区外で開放されるプールにも入れる。運営は市が業者に委託。監視業務のほか連日の水質管理が必要なことから、委託費は開放の有無にかかわらず全体で約1千万円。

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 期間中、開放できたのは全50校のうち20校、2日間の利用者は計882人にとどまった。8日に開放予定だった中藤小学校のプールでは、監視員らが「開放中止」と書かれた張り紙を壁に掲示。中止を知らずに訪れる児童の姿もあり「せっかく来たのに」とつぶやき引き返していた。

 市教委によると、新型コロナウイルス対策に取り組みながら3年ぶりに事業を実施した昨年、熱中症対策や大雨警報の発令などにより開放できたのは予定日数の半分の9日間だった。

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 今夏の開放が2日間だけだったことは想定外としつつ、水中でも熱中症になる可能性があることから「リスクを考えると仕方ない」と担当者。結果を受け、各校や市PTA会長にアンケートを実施する方針で、午前中の実施など今後のプール開放の在り方を探っていく。

 プール自体の老朽化も進む。市教委によると、50校中半分の25校で耐用年数の30年を超えている。そのうち9校では50年以上前から使用。安全に利用するため修繕に毎年1500万円程度予算を計上しており、新設には1億円以上かかるという。

 担当者は「将来的に修繕に多額の費用がかかるなどプールが使用できなくなる可能性もある」とする。授業で実施するプール学習については「学校プールが使用できない場合、民間施設の利用などについても視野に入れていかなければ」とした。

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