海自大湊地方隊、横須賀へ統合 2024年度「地区隊」に 護衛艦1隻増、定員維持

関係車両が出入りする海自大湊地方総監部の東門。24年度には横須賀地方隊に統合され、大湊地区総監部(仮称)となる=31日午後4時半ごろ

 防衛省は31日、海上自衛隊大湊地方隊(青森県むつ市)を2024年度、横須賀地方隊(神奈川県)に統合すると発表した。改編に伴い「大湊地区隊(仮称)」と名称を変更する方針。大湊を拠点とする護衛艦を1隻増やして計8隻体制とし、大湊地区全体で約3千人規模の定員は維持する。

 一部の機能は横須賀に移転するものの、新たに護衛艦1隻を配備することで、地区の定員約2900人(23年度末時点)は24年度、約2910人と微増する見込み。配備する護衛艦は未定としている。

 大湊地方隊に所属する警備隊、弾薬整備補給所、造修補給所などは地区隊が引き継ぎ、艦艇の後方支援を担う。

 大湊地方隊のトップは現在、海将の地方総監が務めている。地元の山本知也むつ市長は海将ポストの継続配置を求めており、同省の担当者は「大湊基地の重要性は理解している。指揮官はしかるべき格(階級)になるように検討する」と話した。大湊地方総監は「大湊地区総監(仮称)」、大湊地方総監部は「大湊地区総監部(仮称)」と改称する方向で、法改正を経て正式に決定する。

 今回の改編は、北方から太平洋にかけての海域を横須賀地方隊が一体的に運用することで防衛、警備、災害対応の柔軟性を高める狙い。同省は、日本周辺の安全保障環境が変化し、体制強化が迫られる一方、人口減が進む中で自衛官を確保しなければならず、他の部隊も含めて「聖域なき」体制の見直しに取り組んでいる-と説明した。

 同省が公表した24年度の概算要求にはこのほか、大湊基地が面する芦崎湾の掘削工事を盛り込んだ。大型の護衛艦が寄港できるよう、現在の水深約10メートルを同約11メートルまで海底を掘り下げる。27年度に完了予定。これに加え、老朽化した桟橋の係留施設なども改修する。

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