継承のおわら届け 八尾・風の盆、1日開幕

踊りの所作を入念に確認する住民=富山市八尾町鏡町

  ●稽古仕上げ、本番へ意欲

 「越中八尾おわら風の盆」は1日、富山市八尾町中心部で3日間の日程で開幕する。各町で8月20日から11日間行われていた前夜祭や、各町の競演「おわら演舞場」を中止するなど、昨年に続き規模は縮小して開催。新型コロナウイルスによる行動制限が解かれ、開催日が金~日曜となる今年は、大勢の来場者が予想されることから、人出に対応した運営の仕組みも検証する。

 おわら風の盆は江戸中期から続くとされ、豊作や安寧を願う行事。三味線や胡弓の音色と唄に合わせ、編みがさ姿の住民が三日三晩踊り明かす。行事運営委員会によると、コロナ前は、期間中に国内外から毎年約20万人が詰め掛けた。3年ぶりに規模を縮小して開催した昨年は約12万人が訪れた。

 今年は昨年に続いて町流しの時間を短縮し、1、2日は午後5時~同11時、3日は午後7時~同11時を予定する。昨年は感染対策で一般車用の駐車場を設けなかったが、今年は有料で3カ所に約千台分を用意する。

 おわらを担う11町の一つの鏡町では31日、稽古の総仕上げが行われ、10~20代の踊り手約40人が「おたや階段」前の広場で、翌日に迫った本番に向けて準備を整えた。

 地方衆が奏でる哀愁漂う音色に合わせ、踊り手は立ち位置や踊りの所作を細部まで入念に確認した。女子リーダーの上木櫻子さん(24)は「焦らず、全力で本番を楽しみたい」と話した。森山風音さん(25)は「コロナを経ても変わらない伝統の踊りを皆さんに届けたい」と意気込んだ。

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